遠方からオーバーホールに持ち込まれたZ1。オリジナル色の強いZ1だが今回オーバーホールとともにスパイスを加えたため、外観は変わらないまま力のある乗ってて面白い内容とリフレッシュされた。

●早速ばらされるエンジン。一見綺麗なエンジンだがばらしていくに従い当然のことながらそれなりの消耗が見受けられる。人間の体と同じで何か問題が出たらなるべく早く対処する事により、それ以上の症状の進行や劣化をくい止めることが可能。
●EXバルブ。オイルがかなり下がっていた様子。カーボンの蓄積が分かるだろうか?バルブステムとガイド間のがたも大きい。 ●バルブステムにもかじりぎみの跡、オイル管理に問題のあったものや、相性のあわない材質のガイド&バルブを使用した場合に良く見受けられるトラブル。最悪の場合かじりついてロック!!なんて事もあり得る。その後の展開はあまり想像したくない。
●全バルブを外した後、カムを再び組み正規のトルクにてカムホルダーを締めつけ、カムシャフトのフリクションをチェックする。正常であればスルスルと回るもの。 ●シリンダーを抜いたところ。写真のようにスリーブが抜けてきた。スリーブが抜ける事自体はそれ程珍しくないが、このスリーブはかなり揺るかったため、スリーブ打ち変えをやむなくされた。メッキ付け(他で紹介致します)などの方法もあるが緩んでいる度合で対策はかわる。当然このような状態の場合、シリンダーとスリーブの間からオイルが上がって燃焼室に入り込んでしまうケースもある。
●消耗部品の定番であるスライダー。見事に折れている。ただし、適切なメンテナンスと共にテンショナー調整を行っていた車輌は何十年経っても見事に原形をとどめている場合が多い。逆にテンショナー調整を怠りテンション不足のまま回され続けたエンジンのスライダーはテンションを失ったカムチェーンに叩かれ続けこのようになってしまうのではないだろうか。読んで字のごとく「スライダー」はその上を滑らせるものであり叩かれるものではないはずだ。 ●当時からついていると思われるイグニッションコイル。既にクラックが見受けられる、いつパンクするか分からない状態なのでこうなったら交換するのがベスト。
●ノーマルレギュレーターを使い続けた事によりかなりの確率で起きる過充電。これはそれを裏付ける痕跡の一部。ストップランプスイッチのカプラーが溶けてしまっている。
●エンジンOHとともにフレーム修正や細かい部分を補修するためジグにのせる前準備。 ●各部点検し、オイルライン洗浄やバリ取り、塗装まで終わり組む準備の整ったアッパーケース。メインベアリングスタッドも打ち込まれた。
●完全にOHされるトランスミッション。組み付けながらクリアランスや動きに問題がないかチェックしていく。
●リフレッシュされた腰下パーツ達が所定の位置についたところ。
●完全に閉まったクランクケース。今回スリーブを打ち変える事になったため、どうせならと1105ccにボアアップした。Z1の場合使用するスリーブがアッパーケースに干渉するためケース側にもボーリングが施されている。
●もちろんピストンなどもバリを取りピストンピンなどの擦り合わせをし組み付けられたところ。
●リフター。左が研摩済みのもの。比較して欲しい。 ●ボアアウトとともにチョイスしたウェブカムST-1を組み付けたところ。
●セルモーターOH中。 ●センターの取れたフレームにエンジンを積む準備をする。
●ウィンカーステーが中にはいっていたためどうしてもウィンカーがたれてしまう。(結構見かけます)これは修正済みの写真。 ●電装、点火系も既に取りけ。エンジンを搭載したところ。
●試乗、増し締セッティングなど微調整をくり返す。
●見た目は殆ど変わらないが中身はかなり濃くなったZ1。納車を待つ。
●納車日当日、ひさしぶりの愛車を試乗するオーナー。腰下からきっちりやってあるためまずはならしから。
遠方にも関わらず、愛車を任せて頂きありがとうございました。息子さんに引き継ぐとおっしゃっていましたが、孫の代まで引き継いで頂きたく思います。どうしても乗っていく内に消耗してしまう部分もありますが、適正なメンテナンスさえしていれば末永くZと付き合えると思います。そのためのサポートはお任せください。