●只今人気絶頂の1000MKII。オリジナルと同じグラフィックラインを生かしながらもベースを黒とすることによってオーナーの個性が醸し出されています。今回入院となったのは、購入後少しずつ増加して行ったマフラーからの白煙と異音の増加、その原因追及と修理。ステアリングストッパー&ガセット周辺に見られた曲がり歪みより疑われたフレームセンターの狂いを矯正すると言うものです。
●外装や電装系等が取り外しにかかる。
●まずはヘッドカバーを開けてみることに。ヘッドカバーボルトの数カ所に応急処置の後。また何カ所かは既にトルクが立ち上がらない状態のものがあった。
●ヘッドカバーを取り外し1・4ピストン排気上死点位置を横から見る。カムシャフトはSTDではなくウェブ製ST2が組込まれていた。但しカムスプロケットにはアジャスタブルタイプではなくSTDが流用されており、従って排気上死点位置では見た目にもインテーク側のカム位置がちょっとおかしい。
●チェーンのコマ数を数えてみると案の定バルブタイミングがずれている。 ●本来ST2カム使用の場合若干ながらヘッド側にカムノーズが干渉してしまうため逃げ加工を施す必要があるのだが見たところそのような形跡は見当たらず干渉した跡が発見された。カムシャフトには若干のサイドスラストクリアランスが存在するためその範囲内でカムが移動した際、異音を発する原因の一つだったのかもしれない。
●組込まれていたピストンもSTDではなくワイセコ製鍛造70mm。後にピストンシリンダー間クリアランスを測定したところちょっと異常な数値が確認された。ホーニング目も異常に粗くもともと70mmボアをSTDとするMKIIシリンダーにホーニングのみでピストンだけを交換した模様。スリーブを交換した形跡はない。
●テンショナー側ゴムローラー。見てのとおりの状態。画像にはないが他のアイドラーギア等も似たような状態。カムチェーン軌道上に位置するアイドラー類の消耗や破損は異音の発生源になるのは勿論のこと、最悪の場合エンジン本体に重大なダメージを及ぼす可能性がある。
●腰上が完全に車体から降ろされ、フレーム修正の為の準備が整う。
●Fフォークを分解し洗浄OHに取りかかる。以前にも分解された形跡があった。手に持ったエンドピースがなぜか片側にしか組込まれていなかった。これではボトムケース内にてインナーチューブが慴動する際適正な位置決めが出来ない。ストックにあったUSED品からこれを摘出し正しく組込むことに。
●正しく揃った(笑)Fフォーク構成部品群。腐食痕が出始めていたインナーチューブにもリクローム処理を施し新品以上の状態に。
●既にアンコが抜かれ加工が施されたシートだが、オーナーのリクエストにより再度張り替えを施すことに。
●センター出し、レイダウン加工、ネック角変更等が施されたフレームに耐久性と美しさを兼ね備えたPAMSお得意のパウダーコートも施した。
●レイダウンに合わせシンプルながらSTDに比べ圧倒的性能を持ったクワンタムを使用。 ●シャーシ廻りの組み上げが始まります。
●前後足廻りが組込まれた状態。
●カムライン修正も施し最終チェック。実際に規定トルクにてカムを締め付けて行います。
●シートカットが施されたバルブシートリング。ポート内からの段付きも修正しておきました。
●組込まれるヘッドパーツ達。 ●充分な洗浄、点検が終了し組付けを待つシリンダーヘッド。
●今回オイルポンプも純正強化タイプに変更で心臓を強化。 ●今回組込まれることになった73mmワイセコ鍛造ピストン。既に組込まれていたものを再利用することも不可能ではなかったが、オーナーの希望により更なるパフォーマンスを与えることとなった。
●ボーリング、ホーニングが終了したシリンダーブロック。面研が施されたデッキ面が美しく輝く。 ●腰下がフレームに搭載されピストンが組み付けられる。
●痛みが見られたハーネスも補修しておきます。 ●ガスケットが載せられシリンダーブロックのインストールを待つピストン達。
●細心の注意を払いシリンダーブロックを組み付けて行く。 ●いきなりですがヘッドが搭載されキャブレターも新たにCRを選択。
●外装が載せられやっとMKIIらしい姿に復活。張り替えられたシートも載せられた。
●腹下ショート管独特な荒々しい排気音だが、以前の状態がウソだったかのごとく静々とアイドリングを開始したエンジンとリフレッシュされた車体廻り新たなる数十年先までの耐久性とSTDに比べ圧倒的なパフォーマンスを手に入れた状態へと復活したMKIIを思う存分味わって欲しい。