オーナーが不調を感じZドックで見て欲しいと来店したZ2。店前に乗り付けたときにピットにいたスタッフはエンジン内部からの異常なノイズにすぐさま気づいた。Zドック入りする前にカムチェーンのテンションを確かめるが案の定遊びが大きい、カムチェーンを張ろうとするがテンショナーアームのロックボルトにトルクがかからない、ロックボルトを抜いてみるとネジ山が一緒に抜けてきた。(ロックボルトを強く締め込み過ぎないように注意)マニュアルカムテンショナーに交換し再度調整してみるが標準的な締め込み量を越えているにも関わらず依然として遊びが大きい、クランキングしている際にもカチカチと異音がする為カムカバーを開けチェックする事に... | |
●とりあえず、異音の原因を探る為にカムカバーを外し、カムシャフトも取り外す。 | ●カムチェーンが脱線して駆動されていた事を証明する片側ショルダーのみが変摩耗したアイドラーギア |
●本来の軌道から脱線して、駆動されていた為カムスプロケットにもあからさまな変摩耗が見られた | ●キャブレターを外す |
●外装を外し、マフラーを外す | ●ヘッドを外す |
●変摩耗したアイドラーギア&テンショナーローラーを外す。 | ●アイドラーギア、テンショナーローラー共に片側ショルダーのみ変摩耗している。再利用は不可 |
●シリンダーヘッドを外し現れたピストンヘッド。 | ●シリンダーを外す |
●カムチェーンスリッパーが取付ボルト部で破断し、ふんぞりかえってる...これも本来の軌道から外れ、適正なテンションが保てなくなったカムチェーンにより攻撃されつづけ根元から削り取られている。 | ●オーナーも聞かされていなかったようです。ヨシムラ86ピストン |
●スリーブとピストンのクリアランスを計ったところ1/100というおどろきのクリアランス。これではカムチェーンが脱線してなくて正常に動いていても焼き付いてしまうほどのクリアランスだ。 | ●ヨシムラのベースガスケット、ヘッドガスケット、ピストンリングとサークリップ |
●内燃機加工が終了し取付前のヘッドとシリンダー | ●圧縮比を指定しヘッド面研 |
●ピストンを洗浄し取付、リングを組み付けシリンダーを差す準備 | ●ピストンとスリーブのクリアランスを計算しホーニングしたスリーブ |
●カムホルダーのトルクを管理する | ●グリスが腐っているマスターシリンダー |
●ブレーキが引きずっていた為チェックしたところ左側のサポートを削り無理矢理右側に付けられていた...これではまっすぐパットがディスクをおさない為フリクションが出て当然だ。機能など考えずにただ強引に取り付けてあった。 | ●左右色違いのコイルが付いていました。たぶん以前にパンクしたコイルのみを交換したのでしょう。コイルも消耗品なので交換するときにはペアが前提です。 |
今回、お預かりする際、次の事をチェックと共に依頼されました。シム調整、リム張替、シートアンコ抜き、電装、キャブ、塗装、マフラー加工。今回エンジンまでやらなければいけなくなったのでやりたい事を削った部分もある。もっと速く自分のバイクの状態が分かっていれば必要に迫られてやる事もなかったかもしれません。必要に迫られてやるのと計画的にやるのとでは精神的にも経済的にも違ってくるはずです。 このZ2のオーナーも必要に迫られやらなければいけなくなった事はありましたが、全然違うフィーリングに喜んで頂けたようです。 オーナーから聞いた話では860ccになっている事も買ったショップからは聞かされていなかったそうです。 自分のバイクの状態を知り計画的に手を入れてあげることでもっとZライフを楽しめると思います。 |
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