ジェネレーターカバーグロメットは、エンジンカバーから3本のジェネレーターコードを取り出す部分に使われていますが、Z系では最もオイル滲みを起こし易い場所で、バイクの保管場所やガレージにオイルの滲みを作ってオーナーの悩みの種になります。
さて、空冷Zのエンジンオイルにはブローバイガスに混じって吹き抜けしたガソリン成分が混じります。実はこれがオイルシールやOリングを熱と共に痛める要因にもなります。
そこで耐熱性はもちろん耐ガス性の確認もせねばなりませんので、米国等で販売されている社外品や純正、そして弊社で新たに試作製作したバイトン(フッ素系ゴム)製のものをガソリンに浸したまま、温度を上げて10日間程置いて耐久テストを行いました。
左から海外製社外品、純正、そしてバイトン製の試作品です。
上がガソリンに浸して10日後のものです。
100%のガソリンという過酷な状況では流石に純正のグロメットも膨張し、大きく変形しています。
ちなみに純正の場合、コードの通る部分を囲む様にスチールのリングが入っています、これは当時のニトリル系のゴムがこの様に膨張してもコードの通る穴径が大きくなってオイル漏れが起きない様に考えられての事でしょう。
リングに抑えられながら膨張した部分が随分と愉快な表情になってしまっています。
スチールリングの入っていない海外製品は、かなり以前に米国で購入したものですが、全体に膨張しています。この為コード穴径が大きくなってしまっているのがわかるでしょうか?
又、膨張したせいか穴の部分に割れが生じてしまっています。
さて、耐ガス性が飛躍的に高いバイトンで製作したグロメットは、この過酷な環境でも寸法や柔軟性の変化を起こす事は全く無く、穴径も同じままです。この為、現行車両用のグロメット同様に特にスチールリングを入れる必要がありません。
純正品との形状比較。
弊社のバイトン製のものには純正にある上側2つの窪みがありませんが、これは純正品に入っているスチールリングを成型時に位置決めする為にこうなっているものなので、変質しない素材ゆえにスチールリングの不要な弊社製にはこのモールドはありません。
穴の太さは純正品に準じたもので、太からず細からず絶妙な大きさになっています。
さて、旧車にはオイル漏れがつきもの、滲み程度で壊れるエンジンは現実にはありませんが、漏れが気持ちいいなんてユーザーは居ないでしょうし、何よりメンテナンスする我々は尚更です。
上の試作テスト時には茶色のバイトン素材でしたが、量産品は黒いバイトンにて行いました。
通し部分にゴム系対応のエポキシ接着剤を塗布してやれば、オイルの漏れはまず完全にシャットアウト出来るでしょう。
既に各方面の業者様や、弊社のジェネレーターコンバートキットでも使用開始していますが、¥1,600/個にて一般市販も致します。