Pistal Piston Z用66mm とZ1用純正ピストンとの比較です。
並べて見ると、スカートの短さとピストンピン方向の形状の違いで、Pistal製の方が小さいのではないかと錯覚しますが、実はどちらも66mmの同じサイズです。
Z1系の66mmストローククランクを使用して組み込む都合上、ピストンピンから上の寸法は変えられませんが、例えば軽量化の為に構造を変えないままでスカートを含むピストンピンより下側を短くすると相対的に上側の方が重くなってしまい、トップヘビーで運転中に首を振り易いアンバランスなピストンとなり、又それによりピストンピン周辺にも運転中に余計なストレスも発生します。
そこで前回記載した通り、ピストントップの内側をリブ構造にしながら鋳造ピストンでは不可能なレベル迄肉抜きし、ピストンピンの下側迄を3次元的に加工する事でトップ側を軽量化して全体のバランスを取っています。
並べてスカート部分の厚さを比較したところ
ピストン製法を鍛造とする事のメリットは、鋳造に比較して素材の強度を生かして薄肉軽量化しながら同等以上の剛性や強度を確保出来るところにあります。
例えばですが、ノーマルを含む過去の形状や構造のまま製法を鍛造素材に変更して薄肉化すれば数値上のみは相当な軽量化が可能ですが、それのみを追い求めても意味がありません。上記の通りピストンピンを中心としての重量バランスはもちろん、エンジン運転中の膨張方向や燃焼室側のピストントップにピンボス周辺の剛性の確保がピストン設計には重要となります。
Pistal Pistonも純正に比較しても数十グラムの軽量化を達成していますが、ピストンの軽さは鍛造製法と材質の選択と構造設計の進化による結果としての軽さです。