1981年型のZ1000J系以降、Z1000R,Z1100GP,Z1100R系のJ系エンジンには、それ以前のZ系のローラーチェーンとギアアイドラーと異なり、多数プレートを組み合わせたサイレントチェーンとラバー製のスライダーシステムが使用されています。
チェーンノイズが抑制されるのと同時に、チェーン軌道のコントロール性が高い為、負荷がかかった際やアクセルのオンオフ時のバルブタイミングの狂いが少ない事から以降のエンジンは空冷水冷を問わずほぼ全ての車種がこのタイプのサイレントカムチェーンを使っています。
ちなみにこのJ系サイレントカムチェーンは、ピンの間を接続するチェーンプレート枚数がローラーチェーンの2枚ずつに対して4枚と5枚のプレートが組み合わされている為、破断に至るまでの耐荷重が非常に高く、大幅なチューニングやレースに使用してもまず切れる様な事がありませんから、Z系用にある様な”高荷重用チェーン”と呼ばれるものがほぼ存在しません。
実際J系をチューニングされる様なショップやプライベーターを含めて、殆どの場合純正品を使用されている様です。
それではグレードの高いチェーンというものは存在しないかと言えばそうでも無く、1981年から数えても既に40年近くも経っていますのでチェーン専業メーカーは構造を変更しない迄も新しい技術は投入されています。
ちなみに、上は最近の車両用にDID社から供給されているもので、下のものはKAWASAKIが販売しているZ1000J系の純正です。
一目見ただけで色見が異なる事がわかります。
写真の光の当たり方でさほど光っては見えませんが、現代のものは茶色見の強い光沢のある処理が施されています。
これはDID社が独自に開発した、ピン表面処理技術SVと呼ばれるもので、あらゆる使用環境で高い耐摩耗性を発揮するのだそうです。
強度は十分ではあるものの接触面積が広く、ピン数も同じ長さの場合数が多くなる為(Z系が122~124に対して、J系は152あります)摩耗しての伸びが早めになるサイレントチェーンの特性を改善する為に導入された技術だそうですので、こちらのチェーンをJ系に使用出来ればチェーンの伸び対策に期待出来そうです。
こちらのチェーンは、日本国内ではZ1000J系用の長さでアフターマーケット品としても正規流通がしておりませんが、弊社より近く在庫品として取り扱いを開始出来そうです。