弊社でEFI化やキャブレターフルコンシステムに使っているピックアップローターは、24-2と呼ばれる現行のカワサキスーパースポーツを含む車両でも使用されているタイプです。
外周部には15°毎に等間隔に並べられた22の歯があり、2つ分を欠歯とする事でピストン位置と1-4と2-3の判別を行っています。
これをエンジンスタートの為にセルモーターを使ってクランキングして、ピックアップコイルセンサーで発生する電圧信号波形をフルコンのトリガ―モニターで確認してみます。
縦軸は電圧、横軸は時間を表しています。
波形の横センターは0ボルト(アース)で、フラットな部分は歯の無い部分を表し、上下の振幅がピックアップコイルで発生する電圧と言う事になります。
この電圧は、ローターの歯がピックアップコイルを通過する際のスピードが高くなる程大きく振れますが、一回転に二回程電圧の振れが小さくなるところがありながら、波の間隔が広がる部分があるのがわかります。
これはピックアップローターの速度が一定では無く、1回転毎に2回遅くなる事を意味しますが、4サイクルマルチエンジンの場合、クランクが180°回転する毎に4つの内いずれかの気筒が圧縮工程に入り、その都度クランク速度が遅くなる為です。
ちなみに通常のエンジンでは、圧縮上死点前でイグニッションプラグにスパークさせるのが普通ですが、その状態でクランクスピードが遅くなっている事が検知できない場合、想定したクランク角度でスパーク出来ない事になってしまいます。
このローターの様に歯数が多いと良いのですが、旧来の車両の様に歯の数が1~3程度のシステムの場合、本来設定した筈の点火時期より早過ぎるタイミングで実際にはスパークが起こりますので、特にバッテリーやセルモーターが消耗しているとそれが顕著になってキャブレターからのバックファイヤーが発生したり、ピストンの蹴り戻しによってワンウェイクラッチの消耗が早くなったりする事があります。