先日GPz1100,Z1100Rのシリンダーブロックと、それ以外のJ系ブロックの違いに付いて記事にしました。
又、Z1000J系のシリンダーブロックは、それ以前1980年迄のZ1000系ブロックとも肉厚が異なり、排気量は1015ccから998ccと下がっているにも関わらずZ1000J系のブロックの方が、厚くなっているところがあります。
シリンダースリーブの外径については、Z1000J, RとZ1000系も変わらないのですが、どうもJ系エンジンはブロックの設計時点で最初から1100ccクラスかそれ以上の排気量への拡大を見込まれて設計されていた様です。
ちなみにJ系をよくチューニングするメカニックには知られている事ですが、特徴的なのが、カムチェーントンネル横の一番内側のスタッドボルトが通る4つの穴の位置です。
シリンダースタッドの位置自体は1972年9月(モデルイヤーは1973年となります)に販売開始されたZ1から最終型迄変わっていませんが、ブロック下面から開けてあるスタッドを通す為ブロック前後方向に向けて約2mmずつ程度オフセットされています。
赤丸で示している部分の肉厚を増す為に、青い矢印方向に加工穴をずらしてあります。
ちなみに面白い事に、シリンダーブロックを上から見た際に開いている穴位置はZ1系と同じです。
ところが、ブロックの上面ぎりぎり迄開けてある穴がスリーブとの間の肉厚を稼ぐ前後方向にずらしてある為、下方向から見るとこの様に上面に開いている貫通穴とずれています。
ちなみに、こちらはJ系以前のZ1000やZ1ブロックのスタッド穴。
同軸位置で穴が開けてある事がわかります。
この為、J系ブロックはZ1100GPやGPz1100,Z1100Rになる為に1サイズ大きなスリーブに変更された時点でも、ブロック自体の肉厚設計の見直しはほぼ必要無かったのではないかと考えられます。
Z1000系ブロックを使用して78mmピストンが入るレベルのスリーブを組み込みすると、ブロック側面に穴が空いてしまうか極端に肉厚が薄くなる事が問題になるのですが、J系ブロックだと何とか肉厚を残して穴も開かないで収める事が出来るといった違いが出たりします。
レース用途等で78mmピストン1260cc化する際に、Z1000J系ブロックを使用されたりJ系エンジンをベースに製作される事が多いのはこのブロックの肉厚の違いの為です。
(それでもかなり薄くなる為、加工時に歪ませない様に留意する必要と、シリンダーヘッドを締結する際に必要以上のトルクをかけてブロックを上下方向に潰してしまわない事に留意する必要はあります)
余談ですが、ゼファー1100のシリンダーブロックの各気筒中心間距離はZのそれと同じです。 ただ、ゼファーの方がボアが更にZ系に比較して大きく、元々が水冷のブロックを空冷に変更した経緯もあってか内側と外側のシリンダースタッドは位置自体がスリーブから離れる方向にずれています。
Zのブロックにゼファー1100の純正ヘッドガスケットを乗せるとよくわかります。