昨年に作業を開始したプライベーターのお客様からご依頼頂きましたZ1。ご自分で組まれたエンジンでしたが、イマイチ調子が良くないと言う事でご相談を頂きご入庫頂きました。ワイセコ70mmピストンに、APE435のハイカム&BIGバルブと言う仕様のエンジンで、ヘッドメニューの割りに排気量が少々物足りないと言う事で、ピスタル74mmを組むと言う内容でした。
早速開けてみると不調の原因はカムチェーンの掛け間違いによるバルタイ不良でした。(27コマ)まぁ良くある話でノーマルエンジンなら普通に走行出来てしまう事もありますが、チューニングエンジンですと最悪ブローと言う結果になりかねませんので、必ず組みあがった際に確認が必要な部分です。そしてトップアイドラー廻りも構成部品に問題が有りそうです。かなり手の入ったヘッドで加工後1000km位の走行と言う事でしたので、ヘッドはこのまま使用する予定でしたが・・・
カムメタルが大幅に飛び出ています・・・。嫌な予感。ヘッドを降ろして各部を点検していきます。
カムラインに問題が有ったのでしょうか、ヘアライン状にファイリングした跡が有ります。このせいでメタルが外に逃げてしまった物と推測出来ます。
そしてバルタイ不良の影響ですが、バルブとピストンが当たった痕跡は見受けられませんでしたが、バルブとバルブが当たっていました。
そして社外バルブと社外バルブガイド(銅系)の素材の相性も有ると思われますが、ガイドのガタも距離の割りにガタガタです。その他プラグホールやシートリング廻りにも問題が有り、極めつけは、ガイドを打ち変えてみる物の、極小のクラック?の様な物からオイルリークが出てしまい正に満身創痍でした。
シリンダー&ピストン廻りは元々スリーブ&ピストン交換でしたので、すんなりいく予定でしたが、こちらも問題発生・・・。
赤いラインより右側が極端に低い事が判明。最低でも黒いラインの内側まで面が出ていないとオイルリークなどの問題が起きてしまいますので、正直使い物になりません。測定した結果0.4mm面研すれば面が出る計算ですが、通常そんな量の面研はしません。ブロック自体の交換と言う手もありますが、オーナー様と相談した結果、面研する事に。これは弊社ガスケットのサイズが豊富だから出来る事です。そして腰下を割り点検して行くとミッションのブッシュが痩せてクリアランスが過大でした
そして、クランクが・・・・。ピストンピンが入る小端部のクリアランスが過大で、クランクベアリングにも嫌な感触が有ります。クランクはフルリビルトする事に。エンジン全体的に満身創痍と言うのは珍しいケースでしたが、オーナー様の熱意に応えるべく無い頭をフル回転させてなんとか組上げの段階まで来ました!!
オーナー様もいろいろと悩まされた事と思いますが、ようやくここまで来ましたね!!まったく別物に生まれ変わるZ1エンジン!一気に組上げます!!