前回からの続きでヘッドを組んで行きます。
元々のヘッドは修理やチューニングなど、いろいろと手が入っていて使用期間も短い(1000Km位)との事でしたので、そのまま使用する予定でしたが、バルブタイミング不良によるバルブ同士のヒット、また使用されていたバルブとバルブガイドの材質による早期での摩耗、バルブガイド下穴周辺のクラックによるオイル下がりの懸念、カムライン修正?によるカムメタルが外側にずれてしまっていたり、いろいろな問題が見つかってしまいました。オーナー様よりスペアヘッドを持ち込んで頂きましたが、そちらも致命的なダメージが有り使用できず、弊社にもストックヘッドが無く・・・という状況で少々時間が掛かっていましたので、オーナー様と話し合った結果、リバイバルヘッドを投入する事になりました。
弊社でも既にリバイバルヘッドは数機組み込んでいますが、今の所非常に作りが良い印象です。
今回バルブガイドは新品ですのでそのまま使用し、バルブを純正バルブ系よりも大きい弊社HFバルブアルファを使用しますのでシートカットをして組む準備をしていました。使用するカムシャフトは弊社オリジナルカムシャフトを組み込む予定でしたが、拘るが故に、開発に少々時間がかかってしまっていて、違うカムを組む事に。ここで新たに用意したカムだと最大リフト時にバルブステムシールとバルブコッターが干渉してしまう事が分かり、やむを得ずバルブガイドを弊社SAバルブガイドに打ち変えることに。SAバルブガイドはステムシール取付位置が低く設計されています。
バルブ廻りの加工が全て終わり、燃焼室容積を測定し理想の圧縮比に必要なガスケット厚や面研量を割り出します。前回の記事で書きましたが今回使用するシリンダーは極端に薄くなってしまっている都合、圧縮比の調整は通常ガスケット側で行いたいのですがこれ以上薄いガスケットは選択できないので、ヘッド側の面研で調整する事に。
今回使用するカムですとインナーシム化しますので、バルブスプリングはESバルブスプリング タイプRとGPzリテナーの組み合わせでSETします。
組みあがったヘッドを乗せ
弊社カムシャフト組み付け工具セットを使用しカムをSET
バルブタイミングを調整し、バルブクリアランスを測定します。この時アウターシム車で有れば、カムを外さずにシムを交換しバルブクリアランス調整出来ますが、インナーシムの場合はシムを交換する際はカムを外さないといけません。
カムの脱着によるカムホルダーボルト穴の痛みを最小限に抑えるためにハイリフトなカムを使用する場合、又はインナーシム車両の場合は弊社のカムシャフト組み付けツールを使用しています。スタッドボルトを立てて専用ナットで閉め込むタイプです。非常におススメです。
バルブクリアランス調整も終わり、ほぼエンジン完成です!
つづく。
*カムホルダーボルトは調整が終わりましたら、カムホルダーをバイスクランプ等で抑えながら、通常のボルトに1本づつ交換します。