おおよそ4日間ガソリンに漬けた、弊社製の試作品を含む何種類かのインシュレーターを、引き上げた日から毎日同じ時間に寸法測定しています。
昔のデッドストック品の丸リップタイプインシュレーターは膨張率が非常に大きく、縦横共に20パーセント近くもオリジナル寸法より大きくなってしまい、4日間乾燥させても3パーセント程広がったままとなっています。
この写真は引き上げ初日ですが、全くスカスカになっています。
ちなみに、現在入手可能なもので弊社でも使用する角リップの通称1131と呼ばれるものは引き上げ初日に外径が11パーセント大きくなっていました。
問題はこれから4日間経っても約6パーセント、オリジナルより3mmも大きいままとなっている事です。
3mm大きくなるとどうなるか、純正サイズのキャブレターの差し込み部分を模して作ったダミースピゴットを挿し込んで見ます。
この様にぴたりと嵌って動きません。
これが3mm大きくなると、見ての通りユルユルです。
もちろん運転中は条件が違い、インシュレーターはガソリンに丸ごと漬かっているわけではありませんので、同じ様なサイズに迄膨張したままにはなってはいませんが、少なからず内部は浸り続けていますので同種の影響は受けています。
これでも純正品の良いところは、内部に焼き込まれた鉄板と容易に剥離したりはしないところで、以前に同じくテストした海外の通販で売られていた社外品では、ガソリンに入れた翌日に剥離してしまったものがありました。
それでも純正品がここまで膨張するのも不思議ですが、これは現代のガソリンに対して多少相性が悪くなっているのかも知れません。キャブレターが内燃機関のメインだった時代から比較してガソリンを使う主役は特に乗用車ではインジェクションになって、かなり変更されていると言うのはガソリンそのものを生産する会社の技術者からも伺っています。
もちろん、現代のガソリンを使ったから今日明日にZのインシュレーターが劣化するわけではありませんが、昔程の耐久性が期待出来なくなったとしたら、ゴム素材は現代のインジェクション車に使われている様なものの方が良いかとも思えます。
ちなみにインシュレーターバンドですが、振動での抜けや二次空気の吸いこみを防止する為にバンドで締め付けはしますが、正常な状態であればそれもさほどの力で締めこむ必要はありません。
むしろ締め付けすぎると、挿し込み部分が膨張した場合は特に大きくなって余った部分が変形してエアリークを生じたり、バンドによって切れてしまったりしますので、程ほどに締めるのが重要です。