1981年のZ1000J以降、Z1000Rや1100R,GP,GPz1100に至る迄のJ系エンジンに使われているカムプラグです。
本来カムシャフトをシリンダーヘッドに搭載するのに、カムジャーナル部を切削研磨仕上げする際に、加工の刃物や円筒研磨ツールを通す為の穴を塞ぐ為のパーツです。
見ての通り、J系の場合はプラグにボルトが通る為の穴が開いています。
ちなみに、J系以前のZ系のカムプラグには穴が無く、当然ボルトも通りません。
カムカバーとシリンダーヘッドに挟まれて収まっているだけです。
しかも、このタイプのカムプラグは外側にしかリップがありません。
この構造が実は結構面倒で、組付け時にオイル漏れ対策の為に当たり部分全周に液体ガスケットを塗ったりすると、カバーの締め付け時に外に逃げて落ちたりします。
この為、Z1系でゴムタイプのカムプラグを組み込む際には、カムプラグ上面の端の部分に僅かに以外には液体ガスケットは使うのは禁物で、それでもチューニングエンジン等でカムカバー部分の内圧が上がったりすると、抜け飛んだりする場合もたまにありました。
対策として、リップのある方を内側にして裏返しにカムプラグを組んだり、もしくは社外品で両側にリップのある形状の金属製カムプラグを使ったりします。
ちなみに金属製の場合は、座面に液体ガスケットを塗って組み込む事になります。
Z1000J系でカムプラグを貫通ボルトで固定する様になったのは、やはりこの抜け留め対策であったのではと思います。
但し、ここで注意しなければならないのは締め付ける際のトルク。
上の写真の様に純正タイプのカムプラグは全周がゴムです。内部に金属は入っていますが、少なくともシールの為に上下面共に柔らかいゴムで出来ています。
従って、締め付ける際にはヘッド側のねじ山周囲が引っ張り上げられる様になりますので、なかなか締まった感じになりにくいです。この為 カムプラグの部分以外のカバーボルトと同じ感覚まで締めると明らかなオーバートルクになってしまうのです。
これが、ヘッド側の雌ネジ部分です。
ねじ山を切っている部分の長さもカバー自体を留めているボルトのそれより短いです。
これで、強く締めると、当然の様にねじ山が崩れてきてしまいます。酷いものだと、雌ネジ周囲のヘッド側ベースが割れてしまっているものも見る事があります。
カバー部分からのオイル漏れは、カムプラグ部分から発生する場合が多いので、ついつい強く締めたくなるのですが、特にこのJ系の場合は禁物で、むしろ他の部分より緩めに締める様にします。
オイルが滲んでもヘッド側端部が割れたりするよりは良いかと思いますので。