これは、Z系の純正オイルポンプ。
Z1からJ系、GPz1100、2005年迄生産されていたKZ1000Pの物迄基本的には同じ構造でポンプとしての機能部分も変わりません。
ちなみに、GPz1100用のみ、ポンプボディにはこの様なリリーフバルブが装着されています。
これの機能は何でしょうかと質問を受けました。
このリリーフバルブの開弁圧力は4.4〜6.0㎏/㎠とされています。
ポンプからの出口部分でその圧力に到達した場合、オイルパンにオイルをリリースしてそれ以上の油圧がポンプ以降のオイルラインにかからない様になっています。
ただ、実際のところ暖機が終了して適温の90℃前後になると、Z系はそのクランクシャフトの構造上油圧がそこまで到達する事はありません。
にも関わらず何故この様なリリーフバルブが装着されているかと言えば、エンジン始動直後からある程度暖まる迄の間はオイルの粘度は非常に高く、クランクシャフトから回されているオイルポンプに大きな負担がかかったり、オイルラインに必要以上の油圧がかかるのを防止する為です。
ちなみにエンジンオイルは、空冷エンジンのシリンダーヘッドや水冷エンジンの冷却水に比較すると温度上昇は非常に緩慢です。
冬場で社外品の大型オイルクーラーが装着されている車両の場合、チューニングされたZ系エンジンでも適温に達するのに街中では30分以上かかったりする事も珍しくはありません。
その場合、オイル粘度の高い状態が長く続き、エンジンは廻ろうとするのにポンプには大きな負担がかかってフリクションが増大しパワーを食われるだけになってしまうので、特にZ系最高のパフォーマンスを発揮する為に純正オイルクーラーも大型化されたGPzでは、逆に冷間時から暖機終了迄のバランスを取る為に採用されたものと思えます。
さて、Z系では写真の様にオイルフィルター室のクランクケース側にもバルブが付いています。
これはオイルバイパスバルブと呼ばれ、同様に圧力差で動作するものですが、過剰な油圧を逃がすことが目的の上記リリーフバルブとは目的が異なりますので別途説明しましょう。