これは、一昨年純正部品が販売終了となった、カムチェーンテンショナーアームです。
未使用新品のデッドストック品をユーザーさんから持ち込まれたものです。
ただ、以前に弊社ブログでも紹介させていただきました通り、この純正のテンショナーアームには 販売終了前数年間にメーカーよりデリバリーされたものの中に、ローラーのベアリング軸部に本来必要な硬度が無いものが多数混入しており、多くの破損トラブルを起こした事がわかっています。
これが無ければエンジン整備にも非常に困ります為、現在は弊社にて製作品を販売させていただいております。
この辺りの経過につきましては、弊社製新品を販売開始した際にも纏めていますので参照して下さい。
新品テンショナー(テンショナーアーム)発売
さて、この純正部品も、未使用品とは言え問題のロットに当たる可能性が非常に高く、従ってこのままでは使用出来ません。
上記の通り弊社で販売している製品もあるのですが、新品のこれを捨ててしまうのもあまりエコとは言えませんから、以前対策していた手法で問題のベアリング軸部を交換します。
フライス盤に固定し、カシメされているピンを抜き取ります。
分解した純正テンショナーアーム
これが問題の軸部です。
硬度チェックの為にカッターナイフの刃を当てると、簡単に切れ込みを入れる事が出来ました。高速回転するニードルベアリングに耐えられるものではありません。
ちなみに、純正フレーム側には正しい熱硬化処理が施されている様で、カッター程度では歯が立ちません。
軸部を弊社製テンショナーアームのものに交換し、新品ピンでカシメました。
これで使用が可能です。
もしも現在でも手元に残っている純正部品が残っている場合は、ご相談いただければフレームやローラー,ベアリングは使えますので、コスト的にも抑える事は可能です。
さて、問題のベアリング軸部をテストしてみます。
大き目のバイスで咥えて荷重をかけてみます。
問題のある純正のものはこの様に潰れ、表面には万力の滑り留めが刻まれています。
鉄でも相当に柔らかい材質で作られてしまっている様です。
ベアリング軸として使用できるレベルの表面硬度を持たせた鉄は、その反面大きく歪める事は出来ませんので、この様に割れるのが正しいです。