発売前に先行量産したボディの加工寸法公差とクリアランスの確認に打ち合わせの為、国内の加工メーカーへ。
鋳造や熱処理はもちろん、加工もそれを専門に行う企業にて国内にて行っています。
いずれも国内の2輪4輪メーカーの先行試作車や量産車用の純正部品を専門に扱う会社に依頼しています。
今回弊社で製作するオイルポンプはワンオフ品や少量生産品ではなく、純正部品のしかも最も精度と品質の良かった時代のものを上回るものを量産する事を目的としていますので、品質を安定させながら目的としたクリアランスを実現する必要があります。
当然ですが、工業製品には必ず公差が発生します。設計値には目標とした数値に対してどれだけの範囲が許容されるかを指定しています。
これらの公差を組み合わせたものが製品になるのですが、最大になる組み合わせと最小になる組み合わせでも目標性能を発揮出来る様にするのが量産技術です。
これがワンオフ品であれば、クリアランスを限界まで最小値にして個体摺合わせで機能する様にする事も可能ですが、それを行った場合は非現実的なコストと価格になってしまいます。
オイルポンプは長年使用すれば消耗する機械ですから、極端に高額なものにはしたくありません。
それでも設計値に対してのその幅を最小限に仕上げられる技術のメーカーの技術で、先行量産品の全てで目標値を達成できました。
ギア外周とボディ間のクリアランスは、全数が0.02mmアンダー。
ギアスラストのクリアランスも0.02mmマイナスですので、ギアとボディ間の両サイド寸法は各々0.01mmアンダーという事になります。
特にこのサイドスラストは、純正ポンプは合わせ面にガスケットを使用する関係で数値が安定せず、特に後期の個体では大きくなっているものもあるので、圧送ロスの低減には効果あるかと思います。
エンジン回転数から幾分減速されているとは言え、高速で回転するオイルポンプの内部クリアランスとしてはかなり詰める事が出来ました。
ちなみに、これ以上クリアランスを詰めてしまうと個体差によっては動きが悪くなる可能性も出て来ます。
ちなみに、純正の新品時ポンプのクリアランスについては、先日にも記事にしておりますので、そちらもご参照下さいませ。
このあたりの設定を雑にすると、見た目は新品ポンプでも本来の性能を満たさない、”似て非なる物”になってしまいますので慎重に進めています。
既にお問い合わせもいただいているのですが、もう少々受注開始までお待ちくださいませ。