弊社で販売するJPオイルポンプには、リリーフバルブが装備されています。
リリーフバルブはZ系の純正ポンプには無く、J系でも標準でオイルクーラーが装備される様になって以降のGPz1100やZ1100R用のオイルポンプにのみ標準で装備される様になったものです。
Z系やJ系(GPz系を含む)エンジンは、その構造上オイルの暖機が完了した後ではリリーフバルブが必要になる程の油圧に上がる事はありませんが、それでも始動直後でオイル粘度がまだ非常に高い状態では油圧は大幅に上がります。
例えばその状態で回転を上げてしまうと、冬季などでは社外品の薄いオイルフィルターパンが変形してオイルリークの原因になったりする場合がある程です。
又、冷間時に固いオイルは始動直後にオイルフィルターの通過が悪い為、例えばその状態で走行を開始してエンジン回転数を上げると圧力差でバイパスバルブが開き、フィルターを通さないオイルがオイルラインに流れ込んでしまう可能性が非常に高くなります。
(本来バイパスバルブはオイルフィルターが目詰まり等のトラブルを起こしてオイルが流れなくなることでエンジン破損を回避する緊急用として装備されています。Z1系エンジンはケース側フィルター室の上で、J系はフィルターボルトの中です。)
オイルポンプリリーフバルブ
オイルバイパスバルブの作動圧
これはエンジンにとっても非常によろしくない状態でもあるのですが、想像するにエンジンの高性能化によって暖機後走行中の油温上昇を抑える為にZ1000R系のものより更に大型化されたオイルクーラーを装備したGPz1100やZ1100Rでは冷間時からの油温上昇は緩慢なものになります。
元々Z系タイプの空冷エンジンは、しっかり暖機をしたつもりでもエンジンオイルの温度上昇はシリンダーヘッド温度のそれに比較して非常に遅いのですが、大型化されたオイルクーラーによってそれが更に顕著になります。
http://www.pams-japan.com/diary/?p=15946
そうなると、特に冬季等の始動後でオイル粘度が高い時間は長くなりますので、バイパスバルブが開いてしまう可能性を下げる為にもオイルポンプ本体にリリーフバルブが装備されたのでは無いかと自分は想像しています。
ちなみに、GPz1100以降に2005年迄製造されたZ1000Pやその他のシャフト系1100シリーズで純正オイルクーラー非装着モデルのポンプには、リリーフバルブは不要と考えられたのか装備されていませんでした。
さて、弊社にてオイルポンプを企画した際には、現在走行しているZ系車両では社外オイルクーラー装着の割合は非常に高い事と、クーラー非装着であっても始動直後のバイパスバルブ開弁による弊害を考えてリリーフバルブを標準装備としています。
ちなみに、kawasakiのゼファー系に使用される純正リリーフバルブの場合、サービスマニュアル上での開弁圧力は4.4~6.0㎏/㎠となっています。
但し、Z系の様にクランクシャフトの構造上暖機後の標準油圧の低く設定されているエンジンの場合、この数値の下限側4.4㎏/㎠はともかく6.0㎏/㎠は高過ぎかと考えておりますので、4.4~5.0㎏/㎠と低目に目標値を設定しています。