厚さ0.2mmのベースガスケットを新規にラインナップ用として製作しました。
スプリング状の特性を持つステンレス素材にプレスビード処理を行っているところはヘッドガスケット用の上下1枚ずつの部分と同じですが、こちらのベースガスケットにはベースガスケット用に現行車にも用いられる手法と同様に表面に、シリコーンゴムを塗布してあります。
空冷車の場合はゼファー1100用からW650やW800用として、又、昨今の水冷車でシリンダーブロックがアッパーケース一体式でなく分割できるタイプでは殆どがこのタイプとなっています。
極薄のシリコーン膜厚は片面10~20μm(0.01から0.02mm)で、これがガスケット当たり面に僅かに残るマシニングの溝や、過去の整備時のスクラッチ傷にも柔軟に追従しながらシールする為、耐オイルリーク特性についても圧倒的に有利です。
又、シリコーンゴムは−40~200℃以上迄と、幅広い温度環境下でも柔軟性を保ちます。
柔らかい為に、ヘッドガスケットの燃焼室近くの高圧環境下には向きませんが、シリンダーベース部分のシールとしてはこの柔軟性が非常に適しているとされたのも、現代で使われている理由かと思います。
さて、このガスケットは0.2mmと薄い為、そのまま1枚で使用すれば標準の0.5mm厚のガスケット(組み込み時には圧縮されて0.45mm程度になります)に比較しても、ヘッド側を0.25mm面研させたと同様の効果があります。
圧縮を高める為、シリンダーヘッドのガスケット面を面研してしまうと元には戻せませんし、ヘッドガスケットを薄くするにも限界はありますが、ガスケットの組み合わせのみでもそれが可能です。
又、シリコーンはその特性上熱伝導性が良好であり、更に上記の様に膜厚が薄い為、シリンダーブロックに溜まる熱をクランクケースに積極的に逃がす事で冷却効率を向上させる効果があります。
仕様としては、スリーブ下端の入る穴径が79mmと82mmの2種 厚さは共に0.2mmです。
79mmの場合は、Z1, Z2からKZ1000の純正スリーブ及び弊社のESTスリーブ72-74 迄が適合します。
82mmはそれ以上のサイズの弊社製を含む社外スリーブ用となります。
価格は共に¥4,620(税別¥4,200)/枚となります。
さて、以上はチューニングエンジン用ガスケットとしての使い方の一つではありますが、実はこの追加で製作したのは他の使用方法に目的があります。
それは、これ程薄いゴム層であれば、ヘッドガスケット同様に間にシムプレートを重ねて組む事により、ベースガスケットによる厚さ調整が可能であるという事です。
次回はその部分について詳しく説明しましょう。