先日、バックオーダーの長かった0.5mmオーバーサイズのSAバルブガイドを再度ラインナップさせていただきました。
ちなみに使用している素材は、弊社で定評あるESTシリンダースリーブと同様の超耐摩耗性鉄系合金となっています。
実は割と以前よりスタンダードサイズのバルブガイドも同一の素材にて製作しています。
この合金をバルブガイド用として導入するには、かなりの量を一度に製鉄メーカーに発注する必要がありましたが、耐久性を上げるのにはどうしても使いたかったものです。
さて、何より最新の摩耗のし難い材質でとにかく長く無理無く使用出来る事、弊社のバルブガイドはそこをテーマとして、更に加工寸法や仕上げにも拘っています。
例えば、スタンダードサイズとしてあるバルブガイドは、それでも新品のシリンダーヘッドに圧入されているものに比べると0.02㎜プラス太くしてあります。
これは、純正を抜き取ってから元と同じサイズのものを圧入してしまうと、長年使用したシリンダーヘッドのガイド穴は少し緩くなってしまっているからです。
従って、ガイド穴を軽く清掃してから交換圧入して丁度良くなる様、その分を太くしてあります。
そして、0.5mmオーバーサイズガイド。
こちらのものはヘッド側の下穴をガイドの外周寸法に対して締め代分を考慮した仕上げを行っていただく事になります。
その際、圧入後にもヘッドにしっかりと固定される真円精度と密着によるシールが出来る様、ガイド外周は切削後に円筒研磨を施しています。
又、抜け止めのクリップは純正に比較してもほぼ全周を保持する専用品を製作し、それが入るガイド側の溝は専用の刃物をオーダーして加工しています。
ちなみに、この溝はスタンダードとオーバーサイズはそれぞれ専用の刃を使っています。
又、内径側は専用サイズに製作したダイヤモンド砥石を使用して研磨仕上げしています。
角度によっては鏡面に見えます。
但し、実は完全鏡面にしてしまうとむしろオイルの保持能力も低下し、フリクションも増える傾向にあります。従って加工表面をフラットにして鋳造素材の特性を最大限生かせる研磨祖度としています。
この為、バルブを挿し込んでやると気持ち良くシュルシュルと滑らかに動くのがわかります。
特に弊社のHFバルブの場合、熱処理後の表面仕上げに軟窒化処理を施してありますが、これにより表面硬度のみで無く摩擦抵抗の低減効果も出ます為尚更です。