Z1系6㎜シリンダースタッドボルト。
折れ込んだものを抜き取って交換したところです。
Z系オーナーであれば大抵の方が知っている通り、Z1~Z900迄の初期900㏄、同じ年式の750㏄のZ系エンジンのエキゾーストスタッドボルトは太さ6㎜です。
これが結構折れ易く、純正の4本出しタイプマフラーであればまだしも4in1タイプで集合部迄が一体構造になっているタイプのマフラーを装着している場合、振動や捩じれがかかり続けるのみでもいつの間にか折れてたりします。
ちなみに、弊社の4in1のショート管ではあまりにも折れ易いスタッドへの対策の意味もあり、部品点数が増えてはしまうものの純正の様な割カラーでの固定方法を採っていますが、これにより各段にスタッドの折損は少なくなっています。
さて、たまに聞かれるのは、あまりにも折れ易いこのZ1系6㎜エキゾーストスタッドボルトで折れ難い強化品は無いのでしょうかと言うのがあります。
もちろん素材や熱処理の変更で更に強度のあるものを作る事は容易なのですが、6㎜程度の太さのボルトの場合は正直それで強度を上げても折れなくなる程頑丈なものを製作するのは正直困難です。
実際のところ過重に対する限界を上げる事は出来ても、硬度を上げる=脆くなるという事ですので、引っ張り力に対して強くとも衝撃には弱くなったりしますから、例えば一体式エキゾーストの集合部を段差等で接地させたりしてしまうと、スタッドは曲がらずにポキッと折れたりします。
又、折れ込んで抜けない様な場合はドリルで削り落としてヘリサートしたり、ねじ山の状態が良ければセンター近くに穴を開けてエキストラクターで抜き取る事も出来ますが、これが硬度の高いボルトであったりするとドリル刃先端が滑り易く、力のかけにくいハンドドリルでボルトセンターに穴を開けるのは非常に難易度が高いです。
純正のZ用6㎜スタッドボルトの材質も決して柔らかいものでは無いのですが、ハンドドリルを使ってもそれ程滑らさずに穴を開ける事の出来る適度な硬度です。
写真はエキストラクターで上手く抜けた例ですが、ボルト硬度が高いとエキストラクターの歯の食い込みも悪い為、センターに穴を開けても中で空転してうまく回せない場合も多々あります。
結局、硬度の高いボルトを製作しても太さサイズ的に折れ難い程のものを作るのは難しい事と、それでも折れたらヘッドを外さずにハンドドリルを使っての簡易な方法でのリカバリーは更に困難になる事。
それが30年近くやってきて6㎜強化エキゾーストスタッドを作らない理由です。
又、硬度とは関係は無いのですが、スタッドボルトを錆びないという理由でステンレスで作った場合です。
一般的な304系のものでは強度自体は焼き入れ鋼に劣り、更にステンレスは刃物の食い込みが非常に悪く折れ込んだ場合非常に手間な事になります事、ステンボルトにステンナットの組み合わせでは焼き付きによる固着や齧りを発生し易いという事で我々は使用を避けています。
固着をし難いステンレスの品種や焼き付きの対策方法も無いではありませんが、メンテナンスを考えるとスチールに対してのメリットが少ないのです。