キャブレターやインジェクション用のスロットル開度センサーに使われているのは、軸に装着して回転角度によって出力電圧を変化させるタイプのものが通常です。
方式そのものは1970年代に乗用車用のインジェクション用と使用されたものから変わってはいません。
ただ、センサーとしての構造は進化しています。
ちなみに、このタイプは可変抵抗式と呼ばれるタイプのものです。基盤上に置かれた抵抗のラインに当てた端子部分が回転する事で徐々に抵抗値が変わりますので、それによる電圧の変化出力として読み取ります。
構造自体は非常にシンプルで、最も初期から使われているタイプです。
ちなみに軸タイプセンサーとは違いますが、フューエルタンクに入っている燃料計のセンサーも原理は同じで、軸付きアーム先端のフロートが上下する事で動作します。
この方式はシンプルではあるのですが、接触端子が常に当たってラインを擦ります為に長年使うと摩耗もします。
特にキャブレターやスロットルボディに使った場合、全域が均一にでは無く走行中に一番使う常用開度域が摩り減って来ます。
そうなると出力電圧も不正確になる場合があったりしますので調整や交換も必要になったりします。
又、抵抗面を擦るというその特性上、回転時にセンサー信号にノイズが出る場合もあります。
例えばですが、古いラジオのボリュームを回して音量を変えようとした際に小さくバリバリとノイズが聞こえる場合がありますが、それと同じです。
ちなみに、こちらのタイプのカワサキ純正のスロットルボディ開度センサーも同様の接触内部抵抗方式です。取り付け場所によってカバーが黒いものもあります。
Z900RS等の現行車にも使われている物で、分解するとオートバイ用に防滴や防塵を考慮した構造になっています。
ただ、昨今の車両の場合はセンサー部分のみでの部品供給設定が無い為、それなりの寿命はあるのでしょうがセンサーが痛んだ場合はスロットルボディアッシでの交換が必要になってしまう様です。
このセンサーも、ある程度走行するとアクセル開度の遷移時にノイズを発生する場合があり、ECUの設定によってはスロットル開度を一瞬誤認識して、チューニングを詰めたエンジンでは問題になる場合があります。
例えば、ライダーはゆっくりアクセルを開けている筈なのに、開度信号にノイズが入る事で一瞬急激に開けて戻した様にECUが認識する様な事になるわけです。
さて、こちらのタイプはホール素子を使用して回転時の電磁力変化を読み取って電子回路が電圧として出力する、無接点方式のものです。
センサー部分が機械的に接触していません為、その部分が摩耗して変化する事がありません。長期に渡って正確な出力をノイズが入る事無く得る事が出来ます。
このセンサーのカタログスペックを確認すると回転寿命は5,000万回以上なっていますが、これはセンサー部と言うより軸受け部の摩耗によるものでしょう。それでも接触抵抗式の数十倍に及びます。
ちなみに、弊社が扱っているATpower社製のシャフトレススロットルボディや、先日CRキャブレター等に使用しているセンサーは同様の非接触型タイプとしています。
寿命はもちろん、より正確なノイズ等の無い開度数値が欲しいからでもあります。