青森県より、エンジンO/Hをメインに電装系等のアップデート作業もご依頼頂きました750RS。少々厄介な修理(レアケース)で作業がストップし困っておりました・・
これはクランクロアケースのシフトドラムの位置決めを担うシフトドラムポジショニングボルトの受け側です。ご覧の通りネジ山が殆どありません・・・。外してみるとすでにこの状態で、なぜこのようになってしまったのかは分りかねますが、おそらく締め付ける際のオーバートルクではないかと思われます。
さて、ヘリサートにて修理をと思っていましたが、なんとここのネジサイズがM16のピッチ1mmと言うとても特殊なネジでして・・・。ヘリサートコイルが現在は存在していませんでした。通常M16のネジピッチは細目1.5mm、細細目が1.25mmそして今回の1mmピッチは極細目と言うかなり特殊なピッチでした。現在入手出来るM16のヘリサートコイルは1.5mmピッチのみと言う事で、いろいろなアプローチで修理方法を考えましたが、コストの面やどれも簡単には行かない状態で困っていましたが、
この750RSのオーナー様がなんと一言
「1.5mmピッチでボルト側を作れば良いのでは?」と
そして
「これなら直作れますよ!」と
なんとオーナー様は金属加工業を営んでいらっしゃると言う事で、自社で作れますよと、現状ケース交換以外で、いろいろ加味するとこれが良さそうと、オーナー様もこの方法を希望され、早速作ってくれました。
ケース側のヘリサート加工は、位置が少しでもずれるとまずいので、機械にセットし精密にセンター及び角度を出して加工を施しました。
無事解決です。さて遅れを取り戻すべくエンジン組み上げです。
ミッションは分解測定洗浄し程度が良かったので、スラストワッシャー、ベアリング、クリップなど交換し組み上げ
クランクもサイドスラスト、ベアリング廻り位相ズレと基準値内でしたが、振れが若干ありましたのでセンター出し、ウエイト部に錆、コンロットはオイル焼けが目立ちましたので、磨き洗浄です。
塗装済みのケースを面出し、最終確認をしつつ洗浄、スタンドにセット
組み込んで行きます。
ミッションの当たり等確認し、ケースを締めます。
シリンダースタットを立てて腰下完成です。ダミークランクを使用したケースデッキ面研がとても綺麗で気持ちが良いです。リセット!って感じです。
さぁお次は腰上、どんどん組んで行きますよ~
オーナー様もう少しの辛抱です。頑張ります!