Z系を含む旧型車の特徴というか悩みといえば各カバー類からのオイル滲み。
ただでさえ車両が製造された時代的な材質と、空冷エンジンであるが故にシリンダーヘッドとヘッドカバー,シリンダーブロックとクランクケース間といったエンジンブロックごとの熱分布の違いによる膨張の差により、これらの各部分からのオイル滲みはエンジンを綺麗に保ちたいユーザーはもちろん、組む我々にとっても長年の悩みです。
例えば、構造的に滲みやすいものとはわかっていても、さすがに組み立てて間も無いエンジンからオイルが漏れてきたものを、「旧車はこんなものです」とは言い難いですので。
又、わりと性質変化を起こし難かった新車当時のガスケットは、素材に含まれるアスベストの健康被害が知られる様になった為、純正品もノンアスベスト材に切り替わりましたが、これが新品時には非常にシール性に優れているのですが、耐熱ファイバーを固める為に使われるゴムバインダーが、数年使用するとカチカチに硬化して柔軟性が低下してしまいます。(タペット調整の為にカバーを開けたら、ピンク色の純正ガスケットがポキポキ折れたり、一部ヘッド側に残ったものを剥がそうとしたら、スクレーパーはもちろんカッターの刃でも容易に立たない程硬くなっていたという経験をした人は多いと思います。)
更にZ系エンジンの場合、シリンダーブロックから上を何度か分解されているのが普通ですが、硬化したガスケットを除去する為に手荒く刃物をを使われたものも多く、その際に純正ガスケットでもシールしきれない傷や窪みがガスケット面に生じている場合があります。その場合コーティング剤や液体ガスケットで対応する事も可能ですが、作業性は悪くなりますし、ガスケットそのものの経年劣化には対応出来ませんので、根本的な解決は出来ません。
この為、素材そのものの見直しから必要となりました。
ちなみにメーカーもこれについては試行錯誤している様で、80年代は様々な素材が使われています。
何よりも細かな傷も埋められる様な柔軟性と密着特性を持つ事と、長年に渡って素材硬度の変化を起こさない事。 そしてエンジン母材である鋳造アルミニウムへの攻撃性が低い事です。