デリバリー間近の弊社ESバルブスプリングと純正スプリングをカットしての断面比較です。
断面が単純な楕円では無く、文字通りの卵断面になっている事が確認出来ますが、大事なのは、これが常に卵の同じ部分が常に外を向きながら巻かれている事。
ちょっと想像していただきたいのですが、例えばロープを何かの軸に巻いたとして、手作業で捻じれが起こらない様にぐるぐるとやると、ロープは必ず回転しながら巻かれていきます。
スプリングにも同じ事が言えるのですが、巻いた際に捻じれ応力が残らない様に加工したとして、鋼線が回転しても通常の丸い断面のスプリングでは問題はありませんが、卵断面の場合長い方向が上下に向いては意味が無くなります。
この為、卵型断面の鋼線をスプリングとして成立させる為には、素材の太さ毎に専用の加工型を製作して用意する必要があり、更に巻くにも汎用機ではなく専用のマシンが必要になります。
それによってコストは大きく上昇するのですが、それでも卵型断面(エッグシェイプ)を導入してのスプリング製作に拘ったのは、リフト時の密着に対しての余裕はもちろんですが、通常の円形断面のスプリングが圧縮された際に横方向にその応力が集中するのに対して、卵型の場合には縦横方向にも分散する為、素材進化によるのみならずその形状自体によっても耐久性が高まり、長期の使用でもバルブ荷重の低下によるエンジン性能の低下を最小限に出来るのが理由です。
これによってオートバイの走行距離基準を遥かに超えた耐久性を持たせられたと考えています。