以下はZ1~Mk2迄の純正バルブスプリングと弊社のESバルブスプリングタイプSとのリフト量に対する荷重特性比較グラフです。
まず青い線は純正新品、赤い線は純正で約8,000km程度走行した際のカーブとなります、70年代のバルブスプリングは素材のせいもある為か、新品時のレートと数千km使って馴染みがついたところでの差が割と大きいです。(一度馴染むと荷重の低下は緩慢となりますが走行を重ねるに従って徐々に荷重は低下していきます。)
これが何を意味するかと言えば、エンジンを組んだ直後は理想値よりもバルブスプリングによる反力は大きく、馴染みがつくまでの間はどうしてもフリクションは大きくて各部の摩耗や消耗は初期に大きく起こるという事になります。
特にカムチェーンの伸びに関しては経験のあるメカニックも多いでしょう。
これらに対して弊社ESバルブスプリングは紫のラインです。
当時の純正から40年の技術差による素材と製法の進化により遥かに劣化度が低くなっておりますので、あえて純正のバルブスプリングが馴染みのついたあたりと同じ位置で荷重の設定をしています。
この為、エンジンを組んだ直後からカムによるリフト時反力は純正スプリングを組んだ場合に対しては低くなりますから、カムチェーンやアイドラー、バルブの当たり面、カムシャフトの山に至るまで全ての摩耗や消耗を抑える事が出来ます。
又、純正バルブスプリングは一般的にステージ1と呼ばれるクラスのカムにはそのまま使えるというのが定説です。
カムのメーカーによって異なりますが、最大リフト量は9.2~9.5mm程度となっています。
グラフを見ていただくとわかりますが、純正スプリングはリフト量10mmを超えると線間密着に近くなり、リフト荷重は急激に立ち上がります。
この領域で使用すると、エンジン破損の可能性が高まりますが、9.5mmリフトからは僅かに0.5mmしか余裕はありません。
実際にはカムのリフトに対してバルブクリアランスを0.1~0.2mm取りますから0.6~0.7mmという事になりますが、それにしてもさほど余裕があるわけではありません。
又、限界に近いところで使い続けたバルブスプリングは、やはり早く縮んで寿命が極端に短くなります。
使っても大丈夫という意味と、それが長く維持できるというのは異なります。
これが我々でも昔から気にしていた部分でもありますので、今回ESバルブスプリングを製作する際には必要十分以上にマージンを取ってあります。
紫のラインで表わされていますが、11.5mmを超える迄リフト荷重が安定しているのがわかると思います。
通常でも消耗しにくい性質のものを、更に余裕を持たせて使うのですから更に寿命は延びる事が想像出来るでしょう。
(最大リフト時の適正荷重というものがありますので、11.5mmのリフトで使っていいというわけではありません。)
タイプSにはスタンダード、ストリート、スポーツの意味を込めています。
ノーマルカムシャフトで組んでも初期からエンジンに優しくローフリクションで回り、ハイパフォーマンスカムシャフトを組んでも、得られた性能と引き換えに寿命を食い潰す事の無い様にする事が出来ます。