さて、見慣れたMK2エンジンです。
腰上と腰下の色が異なる以外に何ら変わりはない様に見えますが・・・
ちょっと違うアングルから見てみましょうか。
何か違和感を感じません???そこに在るべきトランスミッションは何処に?
実はこのエンジン、正真正銘の新品でしてMK2エンジンをベースとして製作された飛行機用なんです。小さな軽飛行機だと思いますが本当にこれで空飛んだんでしょうか? 飛行機用ですから本来のトランスミッションは不必要になるわけです。
ジェネレーターカバーを貫通し延長されたシャフトは、ダイレクトにプロペラへと繋がる設計。これで強度は大丈夫なんでしょうか?
ノーマルを加工して専用カバーにした感じです。
カム周辺も。
リフターも。
アイドラーギアやテンショナーローラーも、確かに火が入りエンジンが回った形跡がなく、正真正銘の新品エンジン。
ピストンも純正STDサイズ。勿論カーボン付着もありません。
EX側ポートとガスケットがつく座面もご覧の様な状態です。
バルブスプリングは何故かJ系と思われる物。
NEWエンジンですが、やはり素直にチェックバーが通らないMK2クランクのコンロッドスモールエンド。やはり新車の時からこうだったんだね・・・と確信。
しかし何と言っても空飛んじゃうわけなんですから、もっと品質管理も含めてしっかりやって欲しいと思うんですけど。
燃焼室。何ら特別な事はないMK2のヘッドでした。ただメーカー出荷時でこんなレベルのヘッド面(研磨目)だったのかと。黒く痕のついた部分は若干のガスケット腐食が表面に発生しているだけです。
バルブもノーマル。フェイスを見てもやはり火入れすら済んでいない感じです。摺合せ痕すらないですね。
こんな所にエンジンオイルの注ぎ口があります。因みにトランスミッションが存在しないので、通常クランクシャフトにある一次側ギアも無くそのままバイク用として転用するのは不可能です。
前に向かえば見慣れた形状も、全体を見ると妙に寸詰まり感のあるオイルパン。空中で上下縦横さらにはマイナスGが掛かってもポンプは正常にオイルを圧送出来るのでしょうか。
新品のはずなのに、カムジャーナルにオイルを供給するギャラリーに何か詰まって見えますよね?
ちょっと穿ってみると、出るわ出るわアルミの切粉!しかも一か所ではなくほぼ全箇所。コレ、飛行機ではなくてもマズいです。。。
実はこのエンジン、現在入庫中のZ1エンジンの腰上用にドナーとして今回分解された物なんですが、数年前にその存在をブログでご紹介した事がございます。アメリカに木箱入りで眠っていた物が再び日本に持ち込まれ、その中の一機だと思われます。
当時北米からエアクラフト用としてオーダーが入り、日本の商社を通して川崎重工に開発&製作依頼が入ったという文献を読んだ事がありますが、これで空は飛びたくないなぁ・・・という気持ちです。飛行船のエンジンみたいな物なら解るんですけど。
純正パーツ神話が崩れ始めているここ最近に来て、このエンジン分解して更に凹んだ感じです。笑