Z用カムシャフトは、純正を含む社外品の殆どが鍛造や鋳造の素材をベースにして必要な部分を加工したものです。
さて、これはZ系の純正品のデッドストック新品で、鍛造材からの加工ではあるものの、カム山の横方向が精密に加工されている数少ない年式のものです。
(ちなみに最初期型という訳ではありません)
カム山の幅とピッチが精密に加工されているという事は、リフト時のシムやリフターへの摩擦力も均一化される事はもちろんですが、エンジンの設計上カム山の中心はタペットやリフターの中心とは僅かにずらされており、エンジン運転中には回転させる様になっているのですが、その回転速度も揃える事が出来る様になります。
ちなみにこの純正カムですが、カムの中心線がリフターの中心から1番気筒方向に向かって正確に0.2mmずつ4気筒共ずれています。
仕事柄、純正や社外品を含む様々なカムシャフトを使ったり測定したりする事は多いのですが、カムのスペックや特に見た目の作りは別として、この横方向の加工精度とカムジャーナルの仕上げのばらつきの無さと、肝心な部分に関してのみ言えば、当方が知る限り純正のこの年式のZ系カムが最も正確なものでした。
又、いずれ別の記事にしたいとも思いますが、純正カムのリフトプロフィールはタペットノイズも出難くなる様に考えられた形状になっています。
加工としてはむしろ手間がかかるのですが、やはり当時でも市販車としてはその部分は大事にしたかったのでは無いかと自分は考えています。