これはZ1の充電系テスト中の風景です。
バッテリーさえ正常であればジェネレーターはZ1のノーマルでもアイドリング中に14Vを上回り、回転を上げてもバッテリー電圧が14.4~14.5Vでぴたりと正確にレギュレートします。
極低回転でも充電効率の良い電圧に達するのは内部のMOSFETの反応と効率の良さもありますが、特に正確に電圧を制御できるのは、車体側のハーネス電源でなくバッテリー電圧をダイレクトにモニターしている為です。
カワサキの車両はZの時代から伝統的にメインスイッチをオンにして電気の流れるコード(イグニッション電源とかACC電源と呼ばれます)の電圧を基準にレギュレータ―の動作をさせていますが、この場合、メインハーネスや接点部の消耗でバッテリーに対しては過充電気味の電圧になる場合があります。
そうなると開放型バッテリーでも液の蒸発を招いたり、密閉型バッテリーやリチウムバッテリーの場合寿命が極端に短くなったりする場合があります。
さて、このバッテリー電源をダイレクトにモニターしているという事は、従来のカワサキタイプレギュレーターと異なり、常にバッテリー電源(白/赤)のコードからレギュレーターを通してアース(黒)にもモニターの為の電流が流れている事になります。
実際、このMOSFET型レギュレータ―を装着する際に、アースの当て方によって接続時に通電を証明する様に微小なスパークが発生する場合があります。
この為、レギュレータ―に通電させたまま車両を保管しておくと、いずれバッテリーがあがってしまうのでは?という質問を受けた事があります。
ただ、電圧モニターの為の通電電流はレギュレータ―の接続時にのみスパークさせる程度流れますが、その後はどんどん下がっていきます。
従って、保管中に接続したレギュレータ―で消費されている電流値は一般的な電流測定レンジ(A~mA)では測定不能なレベル迄下がって落ち着きます。
それでも実際にどれだけ流れているか、測定レンジを変えて可視化出来た数値が28μA(100万分の28A)
メーターに使用されている3Wの電球1個で消費している電流が約0.25Aですから、その1万分の1程度です。
これがどれぐらいバッテリーを消耗させるか?
例えば当社がZ系に使用するSHORAIバッテリーで最も小さなLFX14L2を、満充電状態から始動性にまず問題の起こらない6割程度迄容量を減らす迄かかるのに単純計算では80,000時間(3,348日間)かかる事になります。
勿論実際には静的消耗で減る容量の方が大きいので、10年も平気というわけにはいきませんが、まず無視出来るレベルの消費電力と言えます。ご安心ください。
PS:最近のカワサキ車ではインジェクション化されている事もあって、より電圧の安定が要求される為、特にフラッグシップクラスのものはバッテリー電圧の直接検出方式のレギュレータ―装備になっている様です。