先日PISTAL社製ピストンをこのDIARYにてご紹介させて頂きましたところ、ラインナップ各ボアサイズの圧縮比等についてお問い合わせが多かった為、簡単な一覧をご用意してみました。
Z1/MK2系ピストンとしては、以上が現在リリース予定の9サイズとなります。私達の経験に基づき各ボアサイズごとに使用目的と合わせ明確なキャラクター付けをしました。
これにより圧縮比の設定がシリーズで一律で無く、サイズによって違いがあるのは勿論の事ここには記しておりませんが製作されるエンジンにおいて使用が想定されるカムシャフトやバルブ径等も考慮した設計となっています。
(*77mmは特別注文品)
正式リリース時には各パーツの組み合わせで変化するマージンや基準となるエンジン側の寸法(ヘッド/シリンダーブロック/クランクケース高等)も記載した上で、組手の求めるエンジンに少しでも安心して近づけられる様に配慮してゆきます。
又、J/R/GP系やZ2/FX1系は追ってラインナップに追加となる予定です。
さて、製造元であるPISTAL社について。
実は今から約二年前。旧ブログで記事にしたイタリア渡航記がございます。
https://blogs.yahoo.co.jp/pams_jp/MYBLOG/yblog.html?fid=0&m=lc&sk=0&sv=%A5%A4%A5%BF%A5%EA%A5%A2
この時、意を決して初めてのイタリアへ旅立ったわけですが、本来現行車や最新のレーサー等をメインとしている一流メーカーに、ゼロからこちらのリクエストでピストンを造らせるという、かなり無謀な挑戦でもあったわけです。その為ある程度見通しが立たないとご紹介も出来ないと言う思いがございました。
そこから約2年。先方もここまでよく付き合ってくださいました。正直、プロジェクトが頓挫しかけた事も幾度となくありましたが、おかげ様でどうにか形になりました。
何と言っても既にラインナップにある製品を購買して輸入するのとは異なり、鍛造金型から製作という気の遠くなる様な道筋が今日まであり、理想とする設計のピストンを実現するのにも仕様書を煮詰め、仕上がった試作品を実際にエンジンに仮組みしては採寸して何度も細部の寸法を修正。
慣れない言語を駆使しながらやっとここまで辿り着いたという感じです。
PISTAL RACING ピストンの特徴の一つでもある、デュアルブリッジ構造。
ピストンピンボス部の左右の壁を一体構造にブリッジ接続し、高強度高剛性でありながら軽量化を実現しています。
弊社Z用にも取り入れられていますが、高回転高負荷時においてもピンボス部の歪みは抑制され、フリクションロスが低減されるのみならず、ピストン背面の冷却にも寄与します。
そのPISTAL社はイタリアの割と小さな田舎町にあるメーカーです。ミラノから約100kmという距離に位置し、古くからワインの名産地でもある様です。大規模なメーカーではありませんが、ピストンが大好きなイタリアの頑固職人集団と言うのが最初の印象でした。
古びたレンガ作りで、いかにもそれらしい建物の中に工場がありますが、お見せ出来ないのが残念な程、内部は最新鋭の工作機と驚くようなノウハウの詰まった工場です。
後に、PISTAL社側からも来日していただき、弊社ファクトリーにて現場レベルでの煮詰めも幾度となく行いました。
私達の想いを100%受けて下さったPISTAL社に感謝です。世に素晴らしいピストン達は既に存在していますが、それらに負けない位良いものに仕上がったと思います。新たなピストンの選択肢として、そこに加われれば幸いです。