エンジンのフルOHで入庫中のMK2です。
一見、ほぼオリジナル状態且つ程度の良さそうなMK2だったのですが。腰下を割り洗浄をしながらクランクの目視点検をしていると・・・
何やら錆びていて欲しくない場所が数か所にわたり散見。車輛の状態が良く見えただけに、クランクの状態に少々違和感を感じました。更にこのレースに隠れたニードルベアリングと受け軸側の状態が気になりますが、ここはクランク自体を分解しなければ全体を確認する事は出来ません。
レースを寄せるだけセンターに寄せて見てみると、残念ながらベアリング本体にまで腐食が及んでいそうです。
通常、当たり前のオイル管理と使い方をしている限り油膜に守られ簡単に腐食はしないはずなのですが、長期間不動状態だった所へ油膜も切れてしまった上にケース内に溜まった水分が腐食を進めてしまったのでは?と疑っています。
両端のベアリングは、唯一クランク本体を分解せずに状態を確認できる所です。これは跨って左端側。やはりベアリングのニードルにも腐食が及んでいるのがわかります。
そして、それを受け持つレース側。やはり腐食により段差が出来ています。黒く横に走る数本のラインがそれですが、これは相手となるニードルベアリングの痕です。鉄である以上、同一条件下で接触するどちらか一方のみが腐食という事は基本的にないと思います。となると次に気になるのはベアリングの下にある軸受側。
ベアリングを外すとやはりレース側と同様に腐食は進んでいました。ここまで腐食が進むとラッピングで誤魔化せるレベルではなく、必要な表面硬化層が残せる範囲で研磨をするか(腐食痕がなくなれば)、それで事足りなければ特殊な溶射によって肉盛り、そして研磨という流れで本来の寸法に戻すかです。個々の状態に合わせ、研磨後の数値に合わせたニードルベアリングを使用するか、または上記の様にSTD寸法に戻しSTDサイズのベアリングを使用するかを毎回決めてゆく事となります。
以前は、下手にリビルトをするよりも程度の良さそうな代替え品を用意する方向性だったのですが、ここへ来てその代替え品の入手も困難になってまいりました。
特に生産台数の少ないMK系やZ2系は大変厳しい状況です。
各サイズ・ベアリングの確保、腐食等で傷んだ軸受やレース、そしてコンロッド大端部&小端部等の修復加工確立。あと少しでシッカリとしたクランクリビルトの受付が可能となりそうです。