10mm近いハイカムシャフトを使ったエンジンチューニングを行うのに、シリンダーブロックやヘッドを面研して更に圧縮を上げる場合、バルブリセスが予め深く設計された市販のチューニングピストンでも、ピストンが上死点近くでのバルブとのクリアランスに余裕が無くなる場合や、場合によっては接触という事もあります。
この為、必ず実際に組んでの測定が必要になりますが、使用するカムのリフトカーブのデータがある場合は、バルブタイミングを変更した場合でも上死点前後でどの程度のバルブリフト量になるかは計算できます。
例えば、仮組みしたエンジンでバルブをピストンヘッドに接触する迄押してやり、そのストロークをリフト量計算値から差し引いてやればどれだけのマージンがあるかがわかります。
但し、この方法で確認出来るのはあくまで深さ方向のみのマージンですので、リセス外周とのマージンを見るにはやはり実際に粘土を使用して行います。
ちなみに、これは別のエンジンとピストンとの組み合わせですが、面研によりバルブとリセス外周との位置関係が変わった為、インテーク側はギリギリですがエキゾースト側はピストンヘッドと接触しているのがわかります。