以下はカワサキのサービスマニュアルや諸元表に記載のデータです。
Z1 8.5:1
Z2 9.0:1
KZ1000 8.7:1
Z1000J,R 9.2:1
Z1100GP 8.9:1
GPz1100 9.5:1
車両の性格やラインナップにもよりますが、高年式車になるに従いZ系のラインナップはカムシャフトのリフトや作用角の大きなハイカム化されたものが使用され、それに従い設計上の圧縮比は向上しています。
ちなみに、よく言われる圧縮比と圧縮圧力は似ていますが別物です。
圧縮比は、11.0:1 などという数値で表される通り、ピストンが下がり切った際のエンジン内部の容積に対して上がりきった際の燃焼室側の容積の対比を示すものです。
対して圧縮圧力とは、組み上がったエンジンを実際にクランキングさせてみて測定される内圧を表す数値で、Zの時代のマニュアルだと(7.5~11.7kg/㎠)といった数字で表される別物です。
例えば圧縮比の高いエンジンでもカムシャフトの作用角や設定タイミングによってはそれ程圧縮圧力は上がらない場合もありますが、逆に高過ぎる圧縮圧力はそれ自体がエンジンの回転上昇の妨げになって、低回転のパンチやトルクはあっても上に回っていかなかったり負荷をかけるとノッキングが起き易いエンジンになったりします。
エンジンチューニングの際には、この圧縮比と圧縮圧力の設定がエンジンのキャラクター付けには非常に重要になって来ます。
圧縮比は燃焼室容積を変更する事で調整が可能ですので、従来はシリンダーヘッドの面研にてそれを行う事が多かったのですが、弊社ではヘッドガスケットやシリンダーベースガスケットの厚さの異なるものをいくつも用意していますので、ヘッドやシリンダーブロックを面研によって加工しなくとも簡単に調整が可能になっています。
例えばですが、弊社のピスタルピストンはヘッドガスケットの厚さが1.1mmのものを使った際を基準として圧縮比を設定しています。
圧縮比が11.0:1の場合、ヘッドガスケットをt0.9~t1.3mmの3種、ベースガスケットをt0.5~t1.0の3種を組み合わせる事で、11.32~10.03:1 と大きく調整幅を持たせる事が出来ます。
これ位の幅があれば、純正カムからかなりのハイカム迄を組み合わせてのエンジンを組む事が出来るでしょう。