このDIARYでも度々登場するインジェクション化のトピック。
元々は個人的興味から始まった事もあり割とスローに、しかし少しずつではあるものの着実にノウハウを貯めて参りました。
その始まりは今から20年前に遡ります。
自分のZ1をインジェクション化出来ないか?という発想から、1100GP-B2の純正スロットルボディを使用しましたが、ノウハウ不足もあり十分な結果を残す事無くお蔵入りとなりました。探したのですが残念ながらこの画像以外には見当たりませんでした。当時はまだECU筐体(DOS-V)が異様に大きいうえに燃料コントロールしか出来ない為にイグニッションシステムとしてDYNA2000を搭載し、更に燃料ポンプやフィルターそしてレギュレーター等、余剰スペースの少ないZ1にそれらをレイアウトするのに苦労したのを想い出します。
そして現在Z系のインジェクション化で最も多く使用(社内)しているのも同じくカワサキ純正のスロットルボディですが、専用のアダプターを製作する事によって、スロッルボディ側には一切の加工を施す事なく装着を可能としています。
これは私の乗る1000 J ですが、上記したカワサキ純正の流用スロットルでテスト車両を兼ねインジェクション化しています。
キャブレターからインジェクション化した場合のメリット等はまた別の機会にお話したいと思いますが、割と違和感なくフィットしている様に思っているのですが如何でしょうか?
それとは別にもう少し口径を欲張った仕様も同時に進行しています。以前に何度かDIARYにも登場していますが、こちらは純正流用ではなく空冷Z専用に設計されている物となります。
この機は既に2機目のプロトタイプで現在もお客様のZ1Rに装着されテストを継続しています。
さて、実はこのスロットルには純正では見る事の出来ない特徴があります。画像上を見てお解りになるでしょうか?
そうです。通常そこにあるはずのバタフライを支えるシャフトが見当たりません。「シャフトレス」が最大の特徴です。シャフトがありませんから、画像上の様に前回時には薄い翼断面のバタフライが残るだけですから、一般的なシャフトタイプと比較した場合のフロー率で優位性があります。
ただしその特徴的な構造から発生する弱点もあり、現在はそれを克服する為の第3機目のプロトタイプ製作に入ろうとしています。かれこれ、このスロットルボディの製作そして実走テストが始まり3年近くが経過しています。
専用設計ですから、当然アダプター等一切介さずインシュレーターへダイレクトマウントが可能です。
画像はプロトタイプ-01ですが、ご覧の様にアダプターを介さずインシュレーターにマウント出来る設計です。
製作を依頼しているのは英国に在るAT POWERという専業メーカーです。アルミビレットから削り出しによる軽量高剛性ボディと独自の構造から成り立つシャフトレスバタフライを武器に4輪を主軸に独創的なスロットルボディを生み出しています。https://www.atpower.com/
製品としてリリース出来るか未だ断言は出来ないのですが、コスト的な制約も含め市場からのお声があるならばその可能性もあるかと思います。
Z1R-2にプロトタイプ-02を装着した画像ですが、元気に走っています。
そしてスロットルボディよりも大事なのがECUセッティングです。真っ白なマップに一からデータを作ってゆかなければ始動すら出来ません。各方面からのお力もお借りして、約この3年弱という時間の中でノウハウを貯める事ができました。特にスクートスポーツ代表の小関さんにはお世話になりました。
まだまだ空冷Zは進化します。