シリンダーヘッドのスタッドボルト折れ×2の修理で入庫したZ1。
その状態から判断し今回はヘッドを下しての修復となりました。
画像はヘッド下したついでにステムシールの交換のリクエストをいただき、ヘッドを分解そして点検。
組まれていたカムはノーマルでしたが、カムノーズ逃げが大きく取られている所を見ると、以前はリフトの大きなカムが使用されていたヘッドかもしれません。ステムエンド研磨にバラつきがあります。
各部の点検を進めてゆきます。ポート内に何か突き出しています。
インシュレーター(CVK)を取り外してみると、それはシール用のOリングなのですが、ポート径の拡大によりOリング溝位置がポート内径の内側になってしまい、上手くリングが噛み合わない状態です。二次エアの吸入が気になります。
どの様な物でも走行距離を重ねてゆけば、スリーブ下端にピストンスカートとの擦動痕がつきますが、少し強めに当たっている様です。
ヘッドを下しピストンとご対面。シリンダーブロックはセンターシールの入らない初期タイプでした。ワイセコ鍛造の71mmにボアアウトされていました。各気筒でバラ付はありますが、それ程酷いカーボンの蓄積はありません。勿論この際に、燃焼室もピストンヘッドもカーボンは全てキレイに除去します。
ブロック下面のガスケットを剥してゆきます。シリンダースリーブはボアUPに際しZ1000系のノーマルスリーブに打ち換えられている様です。
ちょっと気になったのが、ブロックを引き抜いた後に確認したケースアッパーの状態です。スリーブ径が大きくなった事で干渉を避ける為行ったケースボーリングかと思われますが、下穴径が少々大きすぎた様で、ベースガスケットの噛み幅が各気筒共非常に狭く、そのシール性に不安が残ります。また一部には欠損もあり液体ガスケット等でどうにかシール出来ていたのかもしれません。
ただ、これを解決するにはケース交換=腰下分解となるため費用も余計に発生してしまいます。オーナーさんとご相談の上、修理メニューを考えてゆきます。
オーナーさんはこの車両を入手されてから初めてエンジンを開ける事もあり、またエンジン全体のいじり方からして、日本に新規輸入される以前アメリカにて手が入っていた物と思われます。