弊社FSヘッドガスケットを使用時に、液体ガスケットも塗布した方が良いのでしょうかと、時々ご質問されるのでその都度お答えさせておりますが、こちらの記事としても記載させていただきます。
結論から申し上げますと、基本的に液体ガスケットは必要ありません。
FSヘッドガスケットは、スプリング素材の様に弾性を持ったステンレス素材にフッ素系ゴムを塗布したプレートに金型によるプレスでビードを成型していますが、オイルストーンで磨いた際に付く程度の傷はフッ素ゴムでシールしながらプレスビード部分に生じるエッジを表裏面に押し付ける事でオイルや燃焼圧をシールしています。
又、ビード部分には弾性がありますので、例えばヘッド側とシリンダーブロック側の膨張差でシールしている上面と下面にずれが生じてもビードエッジが面の上を舐める様に追従しますので、それによるガスケット剥離が起きません。
塗布してありますフッ素ゴムも、エンジンブロック程度の熱では硬化は起きませんので弾性を保ちながらガスケット面からの剥離も起きません。
(エンジン分解してもガスケットからゴム部分が剥がれる事はまず無い程です。)
ちなみに、ヘッド側がこの程度の状態でも何も塗らずに組んでオイル漏れ等は起きないのです。
例外として液体ガスケットを使用した方が良いのは、オイルが流れている場所に明らかに鋭角的に深い傷がある場合、爪や爪楊枝等で傷に直角に引いた場合に引っかかりが起きる程度であれば、傷を埋める様に極々僅か、可能な限り薄く塗って下さい。
例えば、オイルがヘッドのカムやタペット、バルブを潤滑する為に通っている両サイドのシリンダースタッド部分の周囲でビードに重なる部分です。
又、初期型の左右ワンピースタイプのヘッドガスケットを使用するブロックの場合は、カムチェーントンネル周囲で外に向かって付いた深い傷が、ガスケット側のビードと重なる部分です。
それ以外の場所、特に傷等によるオイルリークの可能性の無い部分に液体ガスケットを塗布すると、メタル素材で出来ているヘッドガスケットのメリットである、熱伝導性の良さによるヘッドからシリンダーブロックへの放熱を阻害する事になりますから一切不要です。