ある日ツーリング途中でマフラーから突然白煙を吹いたZ1エンジン。
自走のまま入庫しそのまま分解。
摘出されたピストンです。非常に不可解な溶け方をしているのがわかります。オイルリングまで溶解し消失しているのがわかるでしょうか。こちら側は既にセカンドリングも固着し動かない状態です。
反対側です。こちらは辛うじてオイルリングが残っていますが既にその機能を果たせない状態には変わりありません。
不思議なのはピストンTOPにもランド部分にも異変はなく、ご覧の様にラビリンス部分も健全な状態です。と言うよりも逆に下から吹き上げる様にダメージは広がっています。ですからヘッドを下した状態で上からシリンダー内を覗いてもこれといった異常は確認できません。
ピン穴部分が異様な形状に溶解しています。ところが燃調や点火タイミングが上手くかみ合わない事による異常燃焼等であれば、通常はピストンTOPやランド部分からダメージが広がるのですが、長年やってきてもこんなダメージを目にするのは初めてです。
言えるのは、ピストンピン両端周辺にて何らかの原因で異常に高温となりアッサリと素材の溶融点を超えてしまったと言う事です。しかも一瞬です。白煙を吹きながらこんな状態のピストンでも普通に自走が出来ていたのは、TOPリングが生きていたことで圧縮が保てていた為だと思います。
店を開けてから今年で24年目になりますが、何年やっていても解らない事で一杯です。まだまだ勉強中という事です。