この数週間、エンジンからの異音で緊急入院となった車両が立て続いています。
先日修理完了し納車したZ1、そしてこのZ1に続き本日はKZ900の入院となりました。
異音も様々ではありますが、今回重なったのは「ジャラジャラ」としたカムチェーンに起因する様なものです。
このケースでは、テンショナーにて調整を試みるも適正なテンションが保てず、更にスロットルのON/OFFで上記した様な異音が発生していました。
カムカバーを開けカを外し、カムラインの測定バーを通します。IN&EX共に問題は無さそうです。
燃焼室内に溜まっていたカーボンを除去し各部のチェックを進めます。
カムチェーントンネル上方から確認すると、チェーンガイド(スライダー)が上部取り付け部分から破断し下方支持部分でぶら下がっている状態です。異音の主な発生源はこの辺りだったと思います。
シリンダーブロックを引き抜いてみると、折れたガイドが出現。本来このガイドは適正なカムチェーンテンションが保たれている限り絶えずチェーンと触れているわけではありません。従って折損してしまう様な場合は、以前にカムチェーンテンションに緩みが出た状態のまま長期間走行を続けた事で発生するトラブルの様な気がします。
アイドラーギアもインナーダンパー部分で剥離が発生し始めていました。
テンショナーラバーローラー。こちらの消耗も進んでいました。
オイルパンを開けケース内も目視確認。
オイルパンもキレイに清掃。
折損した破片はオーナーがご自分でオイル交換をした際、ドレンからオイルと一緒に排出されたそうでその時点で異変に気付かれた様です。
今回は同時に腰上OHのリクエストも頂きました。66mm / PISTAL製ピストンを使用し、STD排気量ながらもグッとパンチを効かせながら高回転まで気持ちよく回るエンジンへと調律させて頂きます。