始動クランキング時のインジェクターからの噴射動画です。
本来はスロットルバルブは閉じて始動しますが、見える様に少し開けて、噴射時間は全閉時のそれと同じ様になる様にECUで設定しています。
画像が斜めになっていてちょっと見辛いですが、左上方が上側になります。
1サイクル毎、2回転に一度のシーケンシャル噴射を行わせるには、行程判別の為のカム角度センサーが必要になりますので、現状での噴射制御はグループ噴射と呼ばれる毎回転に一度の噴射方式を採っています。
こちらは8倍スローにしたもの。
噴射のパターンにむらがある様に見えますが、これは元動画が高速度カメラでは無く普通のカメラでの撮影で、秒あたりのコマ数が少ない為で、実際には毎回同じパターンと速度で噴射が行われています。
それでもインジェクターから毎回転シャワー状にポート内部に噴霧されているのが良く分かります。
さて、アイドリング中やエンジン始動時のガソリン供給ですが、キャブレターの場合スローポート(アイドルポートやパイロットポートとも言います)と呼ばれるキャブボディに開けられた小さな穴から行われます。
又、始動時にチョークを使用した場合は別途に開けられたチョーク用の穴からもガソリンが供給されます。
インジェクションに対してこのガソリンがどんな感じで供給されるかと言えば、フロート室内のほぼ大気圧とキャブレターポート内の負圧による気圧差で吸い上げられたガソリンが各穴から湧き出して、キャブとエンジンのポート内壁上を流れる様な感じで燃焼室内に入ります。
ちなみにキャブレターの図解表現でよく使われる、ニードルジェットから霧吹き状になってガソリンが霧化しながら混合気となって燃焼室に向かうのは、それなりにアクセルが開いている時の話で、それにしてもある程度回転が上昇してポート内を通過するエアの流速が上がらなければ霧吹き現象前にはやはり壁流れ現象が起きます。
キャブに対してガスの供給を負圧や空気の流速に依存しないインジェクションシステムが特に勝っているのはこの領域で、動画の様に始動時やアイドリング時でも全域に渡って変わりなくインジェクターノズルからポート空間内にシャワー状に霧化されていますので、混合気化の効率のレベルが遥かに高くなっています。