空冷Z系をEFI(フューエルインジェクション)化する際には、シリンダーヘッドに温度センサーを取り付けし、そこで計測した温度データをフルコン等のECUでエンジン始動時から暖機終了迄の燃調や点火時期の補正に使います。
例えばエンジンが冷えている際には最初のクランキング時は燃料を大幅に増量し、温まるにつれて燃料を絞っていく、逆にヒート気味になった際にはアイドリング以上の領域ではむしろ若干燃料を増やして燃料冷却効果を狙う等です。この機能がある為、キャブレターの様にチョークレバーのマニュアル操作は不要で、点火時期についてもアイドリング回転数の不安定な冷間時には点火時期を進めて安定させ、暖まってアイドル回転が上がりそうになる時には遅らせる事で低く安定させると、始動時から暖機終了後のアイドルスクリュー調整も最小限で済ませる事が出来ます。
この機能は別にフルコンに限った事では無く、カワサキで言えばW800等の純正EFI車量でも同様にヘッド温度センサーが装備されていますので、同様の制御を行っているのでしょう。
これが水冷エンジンの場合はシリンダーヘッドから出たサーモスタット前で冷却水温を測るセンサーが同様の役目を果たします。
さて、空冷エンジンの場合、通常はシリンダーヘッド側に掘った雌ねじ部分にセンサーをねじ込むのですが、既に完成済みのエンジンであったり、車両として持ち込まれたものをEFI化するのにヘッドを外して加工したり、ハンドドリルで作業するわけにはいかない場合もありますので、ヘッド側そのものには手をつけずにセンサー取り付ける方法を考えてみます。
とりあえずアルミのステーを切り出したものに穴を開け、そこにエビナットと呼ばれるブラインドファスナーでセンサーのマウントを作ってみました。
ナット自体もアルミで出来ていますので、熱伝導性はそれなりにあるでしょう。
これを使う場合は写真の様にシリンダーヘッドナットの座面に入れる事になります。
精度面では直接ヘッドに装着するのに劣りますが、大まかにエンジンが冷間時であるのか、暖機は終わっているのか、もしくはヒート気味になっているのかを知るレベルでの測定であれば充分でしょう。
更に燃焼温度を正確に拾うのであればもう、少しステーをの穴を大きく作ってガスケットリングを除去したイグニッションプラグの座面に入れる方法もあります。
ただ空冷エンジンの場合プラグの脱着頻度が割と高い為、何度か使用するとプラグガスケットを兼ねているセンサーマウントステーを交換の必要があるでしょう。
このあたりは作業性と天秤にかけて考える必要があります。
又、当初はシリンダーヘッドナットをジュラルミンで製作して、そこにセンサーをとも考えましたが、ナット自体の強度に不安があるのと、センサーの付いているナットのみ素材が異なるのもどうかとも思えますので、まずはこの方法で行ってみます。