インジェクションのシステムセットアップと起動確認を行ったZ1、エンジン仕様に合わせての燃調と点火のマップをシャシーダイナモ上でリターダーで負荷をかけながら大まかに設定し、その後は実走行を繰り返し今度は生の負荷をかけながら補正をかけていきます。
速度の上下により変化する路面からの駆動抵抗や走行風抵抗、ギアポジジョンによる違いを含め、フルコンユニットに装備されているログ機能を使ってマップを煮詰めていきます。
ハードシステムのセットアップに関しては、配線の多さや元々EFI用の装備が何一つ無いキャブレター車の為それなりの手間と時間がかかっているのですが、実際のセッティングに入ってからの作業性の良さは、キャブを知る人であれば目を見張るものがあります。
例えばですが、パイロットジェットやニードル、メインジェットの変更に当たる作業がモニター上のセル値の変更のみで一瞬にして、しかもエンジンは運転状態のまま出来ますので、それらの変更を1日に数百回行う事も可能です。
ただ、作業性が良い分妥協のポイントも上がってしまう為、どんどんレベルの高いセッティングが出来てしまいます。
又、インジェクションの場合吸気や負圧と言う物理現象に依存すること無く燃料のコントロールが可能ですので、アクセル急開時に加速ポンプの様に燃料を増量したり、逆に急閉時や全閉時に意識的に供給を絞ったり止める事も自由です。
さて、特にこの車両は長距離のツーリングにも使わて距離を稼ぐ使い方が多い事もあり、エンジン本体にもそれに適したセットアップが行われています。
どんな内容かと言えばトルクバンドの広さで、最終的には何と3500rpmで最大トルクの9割迄ををアウトプット出来る迄になりました。トルクカーブはそのままほぼフラットに伸びています。決して意識してピークパワーを削ったわけではないのですが、これもEFI化によるセッティングの自由度によるも言えるでしょう。
更に、高速道路での巡航領域の燃調に関しては特に綿密に行い、トルク感を損ねずに燃費も考慮した空燃費設定としました。
オーナー様にお引き渡し。
週末にはやはり長距離のツーリングに出かけられるとの事です。
道中お気をつけて行ってらっしゃいませ。