これは、EFI化した車両を実際に走行させて、LinkのフルコンECUに記録したログデータを専用ソフトウェア上で見易く表示させたものです。
時間軸に対しての空燃費数値のデータを折れ線グラフで表した2次元的なログデータでは、走行状態を読み取る為には上下に並んだ各種のパラメーターも一緒に考えながらとなりますが、この様に表示させる事で走行条件に対してのイメージが非常に掴み易くなります。
縦軸はエンジンにかかる負荷を表すマニホールド圧力、横軸は回転数で、空燃費数値は色分けされて、その遷移も連続的に見れる様になっています。
例えばこのデータはセッティング途上のものなのですが、アクセルを全開にして高回転迄加速した際の部分は赤く囲んだ部分です。
これはちなみにシャシーダイナモ上で一気に全開にしてパワー測定した際に計測される空燃費データのエリアになります。
但し、実際にオートバイを走らせると、サーキットを走ってさえその領域を使っているのは全走行時間の極々僅かですので、ダイナモを使用するにも全開のみではなくエンジン負荷をかけながら様々なスロットル開度、マニホールド圧に条件を変えながらロギングを行います。
ログデータを上の様な表示にすると目標値に反して濃かったり薄かったりする部分がありますので、そこを他のパラーメータ条件と照らし合わせながらセッティングで修正していきます。
さて、このデータログ機能ですが、実はキャブレターでも使えます。
その場合フルコンのECUをイグニッションタイミングのみのコントロールに使用する事になります。
マニホールド圧力等のいくつかのセンサーと、ECUに連動可能な空燃費測定ユニットが必要になりますが、色分けされたログデータを見れば濃い部分薄い部分は一目瞭然にて判断出来る様になりますので、セッティングには大いに役立つものと思います。
例えばキャブレターの場合はセッティングの都合上、上下方向の負荷軸をスロットル開度に変更した方がイメージし易いかも知れません。
下のものは同じサンプリングデータで、縦軸をスロットル開度をベースに変更しています。
表示中で空燃費の濃い目を表す青い部分が多いのは、サンプルデータがEFI車のもので、アクセルオープンで加速増量が効いている部分でもあります。
この表示の場合、最もボトムがスロットル全閉、上側が全開と言う事になります。
走行内容はそれなりにメリハリつけて開けっぷり良く走ってはいるのですが、以前記事にした通り、ストリートではスロットル開度が小さい状況で走っている割合が非常に高い事がわかります。
それなりの高回転でも全閉にしている事が多いのも見えると思います。
さて、実は既に何人かの方からも問い合わせを受け、必要なパーツやECUについてのご紹介もさせていただきました。
その中にはTOT等のレース出場者さんも含まれています。
なんでもレギュレーション上、キャブレターを取り外してEFI化してしまうとレギュレーション上出場出来るクラスが限られてしまうのですが、点火系に関してはそういった縛りが無く、ウオタニ等を筆頭とするデジタル制御イグニッションはもちろんの事、TPSやVPSで各種の補正を行いながらエンジンに合わせたオーダーメイドのフルマップを作れる様なシステムの導入を行っても問題は無いとの事。
そこに更に従来のものより遥かに扱い易くデータ読み取りのインターフェイスに優れたEFI用のデータロガーを使えば、キャブレターセッティングにも非常に役に立つ事でしょう。
ちなみに、弊社でも使用しているLinkのベーシックECU、G4 atomの場合、同時に数十の項目を毎秒40回のデータサンプリングとログが可能です。
これをキャブ用として使うのに、燃料噴射制御系のデータを記録する必要はありませんので容量にも余裕が出来ますから、並列して十数項目のデータを採取しても数十分間~1時間程度はデータロギングが可能です。