左は弊社のテスト車両である1982年型Z1000J、右は1984年型GPz750turboです。
GPz750turbo、乗車した経験者であれば知っていますが、turboの言葉のイメージにある様なブーストがかかった途端に後方から蹴り飛ばされる様な怒涛のトルクとパワーという感じの車両ではなく、過給がかかるに従ってしなやかで強靭なゴム紐で前方に向かって引っ張られていく様な加速感覚を味わえるバイクです。
過給を行うバイクと言えば現代ではNinjaH2がありますが、35年も昔に各社が省燃費や小排気量化の為にturboを採用した中、唯一スポーツバイクとしてパワーを発揮させる為の過給器とデジタルフューエルインジェクション装備したバイクを実用化していたわけです。
35年前のEFI(DFI)とは言え、実はハードとしてのインジェクションの構造は現代のものとの差は殆どと言って良い程ありません。
進化したのはECU等のコントロール系です。
1984年式のDFIは、ヘッド温度とTPS、ターボ過給による燃料補正の為の吸気圧力センサーのみで、それ以外の補正やフィードバックは行われてはいません。
しかもシートカウル内に搭載される大型のECUがコントロールするのは燃料系のみで、点火時期コントロールは独立したアナログシステムで行われており、過給時の点火時期リタード等はされていませんでしたので、市販車としてかなりのマージンを持たせた設定です。
さて、2019年現在では、各部のセンサーやECUの演算処理スピードが向上した事はもちろん、吸気温度や空燃費センサーによるフィードバックはもちろん、点火時期も走行状態や過給圧に応じて最適なタイミングでスパークさせるマネージメントが可能です。
弊社Z1000Jはエンジンはノーマルのまま、EFI化を含む吸排気と点火系のマネージメント変更のみで、当時のカタログスペックを大幅に上回るパフォーマンスを発揮するに至っています。
ECUの進化は日進月歩で、ほんの5年も経つと明らかな進化を感じられる程です。
例えば、この750turboをハード面はメンテナンスのみに留め、コントロール系のみを2019年に導入可能な最新のものに変更したらどれ程の変化があるか、非常に興味のあるところです。