Z系に使うイグニッションプラグは、最もベーシックな純正のB7ES、B8ESがありますが、現代では電子回路で制御するイグナイターシステムを使用する都合から、ノイズ抑制の為の抵抗入りBR7ES、BR8ESを使用する場合が多いです。
他の選択肢として、市販品には電極形状の異なるVプラグや、素材にプラチナやイリジウム等を使用した様々な高性能プラグがあります。
但しそれらを使用する場合はまずエンジンが正常で、空燃費や点火時期も適正にセットアップされている事が前提です。
それらが明らかに不調なエンジンを何とかする為に高価なイグニッションプラグを用いた場合。例えば公道走行のスロットルワークには濃過ぎる空燃比で燻ってしまうものをプラグの性能頼りで何とか失火しない様に走らせる事が出来たとしても、濃いという状態自体が変わるわけではありませんから、ピストンヘッドを含む燃焼室内部やバルブ回りには急激にカーボンが堆積してしまう事は避けられません。
プラグ交換で何とか出来ればと言う考えや期待する気持はわからないでもありませんが、まずは使用目的に従ったエンジンの整備状況や空燃費に点火系のセットアップが先であると思って下さい。
標準品のB8ESや、BR8ESを使用すると明らかな不具合が起きたり、高性能プラグに交換すると極端な効果があると言う事であれば、むしろ上記の何処かに問題があると考えた方が良いでしょう。
さて、下の写真は弊社で使用するいくつかのタイプです。
いずれも極端な高性能を謳うタイプの物ではありませんが、使用目的によって使い分けています。
一番上は標準品のBR8ES
二番目は、ネジピッチや径は同じですが、ネジ部分が若干長いロングリーチプラグです。主に、プラグ座面に先日紹介したヘッド温度センサーアダプターを挟んでやったりする場合に使います。この場合、各気筒の座面にスペーサー等を入れて高さを調整します。
三番目はネジ部分の規格はBR8ESと同じですが、プラグの電極部がより燃焼室の中心近くになる様になっているタイプです。ピストンヘッドとの距離を確認してから使う必要がありますが、圧縮比の設定によっては、より燃焼時間を短く出来る様にセットアップが出来ます。又、座面から上方への寸法がコンパクトな為、ツインプラグ化した場合のプラグキャップ同士の干渉対策にも有効です。