弊社のEFI実験車であるZ1000Jのエンジンは、現時点でカワサキ純正0.5mmピストンを組んだのみのフルノーマルです。
これは、ノーマルエンジンを吸排気系をEFI化する事でどこまで性能を引き出せるかのトライでもありますが、実際にノーマルとは比較にならない程の扱い易さを備えながら、レスポンスを含む性能面でもレーシングキャブレターのそれを完全に凌駕しています。
例えば、最高出力は後輪実測定で110PS弱となりますが、40年近く前のカタログ記載でのエンジン本体の出力記載が102PSで、実際にフルノーマル車を弊社にて後輪計測を行うと80PS台中盤程度である事を考えると、かなり優秀な値であると言えるでしょう。
さて、ノーマルエンジンで出来る事はあらかた終わりましたので、次のステージではエンジン本体のチューンナップを行いますが、ここではあえてシリンダースリーブの交換を伴わない、ボーリングのみでのインストールが可能なPISTAL RACING製72mmピストンを使用しましょう。
2次元の写真では伝え切る事が難しい程、美しく造形されたピストンだと思います。
出来れば現物をその目で見ていただきたい程です。
ノーマルボアが69.4mm 998ccと、1,000ccを僅かに下回るサイズなのに対し、1,075ccと、Z1100GPやZ1100Rの72.5mmには及ばないボアです。
これに先行量産品のハイカムを合わせて使用し、Z系エンジン最高出力純正EFIを備えるGPz1100のカタログ120PSにどこまで迫れるかを目標とします。
もちろんエンジンの馬力のみでバイクの早さを語れるものではありませんが、例えば一つの目安として、空冷Z系で後輪出力が120PSを越えると、正直公道では開け切るのには躊躇するレベルになってきて、130PSとなるとサーキットでもそれなりのタイムを狙える仕様になります。
弊社のZ1000J用ピストンには74mm,76mmのものもありますので、最終的にはそれらを使用したチューニングも考慮しておりますが、あえて小口径ピストンを使いながらどこまで速く出来るか挑戦してみる事にします。