チューニングに着手したZ1用シリンダーヘッドです。
チューニングの方向性も定まり、先ずはヘッドから仕上げてゆきます。画像は旧いシートリングを切削にて取り去り、新たにリングを圧入した所です。J系以前の空冷Zはヘッド鋳造時にリングを同時に鋳込まれており、シートリング交換にもちょっとした手間が掛かります。
通常OH時には、過去既に幾度かに渡ってシートカットが施されていたり、又は規定値を超えた摩耗により正常なバルブステム突出し量とならない場合に限り、シートリング交換に踏み切りますが、今回はその目的が異なりあくまで「Tune up」の為です。
INポート入口から覗いてみます。通常の耐熱鋼リングとは異なる輝きを見せるのはベリリウム銅合金から削り出されたシートリング独特の色合いです。ガイドは引き抜き、これよりポート研磨仕上げを施した後に、同じくベリリウム製のガイドを打ち込みシートカットへと進みます。
こちらはEXポート側から覗いたところです。同じくガイドのみ抜き去りシートリングの入れ替えが完了し、この後ポート研磨そしてガイド打ち込み、シートカットという流れになります。
ベリリウム合金と申しましても合金である以上多種多様ですが、その適正を見極めつつ、必要な硬度を得るための適切な熱処理を施した物だけを使用します。
通常の耐熱鋼と比較してコスト高になる為一般的ではないと思うのですが、圧倒的な熱伝導性と熱引けという銅合金の特性に加え、硬度と耐摩耗性をも備える飛び道具的な材料でもあります。
そして組み合わせるバルブは、久々ですが「アレ」で行きます。