インジェクションシステム用のフルコンECUは、イグニッションのコントロールも行っていますので、キャブレター車であってもその部分のみを使うと、点火時期を自由自在にコントロールする事が可能です。
ちなみに、このCRキャブレターにはサイドから見えない部分にTPSセンサーシステムを組み込み済みです。
無接点式の小型センサーを、産業用3Dプリンターにも使われるケブラー製ベルトで接続しています。
これに関しての詳細は、又別途に記事にしましょう。
これが実装中の車両、ピックアップシステムはEFI化する場合と同様に24-2ロータートリガ仕様で、よりクランク角度も細かく精度を上げたコントロールが出来ます。
時代が進み、フルコンECUは小型化と同時に防水防塵化されています。ちなみにこのLINK ECU atomⅡの場合、同じく最近のリチウムバッテリーであれば2つセットにしてもZ1系のバッテリーケースに造作無く収まるサイズです。
イグニッションマップはスロットル開度もしくはマニホールド圧力のどちらかを負荷軸として選択した上で3次元で自由に設定出来るのはもちろん、スロットル急開に対して点火時期をリタードする事のノッキング防止設定も補正マップを別途に読み込ませる事で対応出来ます。
又、ヘッド温度に吸気温度をベースに補正も可能ですので、始動時と暖機後やヒート気味になった際の設定も出来ます。
又、最大のメリットとしては、フルコンが持つ数十のパラメータを同時記録出来るロギング機能が使えるという部分も大きいでしょう。
スロットル開度、インテークマニホールド圧、ヘッド温度に、吸気温度、標高、点火時期に各種の補正記録はもちろん、オプションで空燃費センサーやアンプを装備させる事で、あらゆる条件下での空燃費数値を記録出来ますので、キャブレターセッティングにも役に立ちます。
他にもメーターケーブルにスピードセンサーを組み込んでやる事で、走行速度をモニター記録はもちろん、回転数との対比計算で使用ギアのロギング。
シフトロッドへセンサー組み込みを行えば、オートシフター機能をECU側で設定する事も出来ます。
(チェンジペダル操作時に点火カットやリタードを行う事で、クラッチを切らずに シフトアップを行うと言う、昨今のレースでは欠かせなくなっている機能です)
ちなみに、今回の車両はツインプラグ仕様ですので、バッテリーケースサイドに揃えてマウントしています。
左側のプレート上側のは、空燃費センサーのアンプユニット。O2センサーを正確に機能させる為のヒーターコントロールと、センサーの出力から空燃費数値を演算してフルコンECUにフィードバックを行います。
下側はツインプラグ用のイグニッションコイル通電をコントロールするイグナイターユニットです。通常はオートバイのイグニッションECUに内蔵されているコイルスパーク電流をコントロールするパワートランジスターを外装式にして、ヒートシンクを兼ねたアルミプレートにマウントする事で、耐久性や信頼性を上げる事が出来ます。