開発テストが最終段階に入りつつあるオリジナルカムシャフトシリーズ。
企画を開始したのはもう想い出せない程昔の話ですが、実際にプロジェクトとして動き始めて既に3年以上が経過してしまいました。
画像は試作タイプの一種ですが、これも実装して走行テストを重ねています。数百キロ単位で問題が無くとも、数千キロ、数万キロと走行距離を伸ばした時の状態も知る必要があります。
大手メーカーであれば、専用のテスト機器やシュミレーター等を駆使し、もっと効率良くテスト結果を得られるのだと思いますが、我々の場合それと同じ様には行きません。
時間を掛けてテストを繰り返すしかないのです。現在耐久試験を始めとする実走行での結果は上々。最終的な表面処理の決定を待っている段階です。
ここにUPさせて頂いた者は全てSTDスペック。ノーマルと全く同一なプロフィールにて製作された物です。アフターパーツだと言うのに、何故ノーマル?というお言葉も関係者各位様よりいただいておりますが、ノーマルでエンジンをリビルドされたい方もいらっしゃると私達が感じているからという事になります。
また知る限り現在アフターパーツとして流通するカムシャフトの殆どが鋳造ですが、このPEカムシャフトシリーズは純正カムシャフト同様の鍛造ベースを製作した上で外周は総削り仕様で仕上げ、Z2/Z1初期だけに採用されていた中空構造として強度と軽量化を実現しています。
どんなハードパーツもそうなのですが、いざオリジナルとして製作プロジェクトを立ち上げメーカーさんと話を進めると、知っているつもりで知らなかった事が山ほどあったと痛感すると同時に、そのパーツへの探求心やそれに伴う面白さが日増しに芽生えてきますから不思議なものです。いつまでも勉強ですね。
ノーマルスペックにてエンジンリビルドを進める際、決して少なくはない確率でカムシャフトの摩耗が進んでいます。カム山やジャーナル径で言えば、マニュアル上で標準値と使用限界値の二つが記されていますが、標準値を大きく超えどうにか使用限界を超えずというケースは良くある話です。しかしその代替え品にと各社で揃える大人し目な市販カムを使用しても、ノーマル基準の圧縮比では実効圧縮が低下し、逆に低中速でパンチの無いエンジンになる場合がほとんどです。従ってノーマル基準の圧縮比であれば、ノーマル基準のカムがベストだと考えています。
このカムシャフトシリーズは聞き慣れないPE ブランド(Pams Engine development)からリリースの予定ですが、同じくPEブランド扱い製品との組み合わせや各種データ等のご提供が前提でのプロジェクトとなります。
例えば、お陰様でご好評をいただいておりますPISTAL PISTONでは、使用するカムシャフト&バルブ等のスペックから導き出されるマージンや、クランクケース/シリンダーブロック/ヘッドの各実測寸法(厚)から簡単に追える圧縮比計算、そして狙った圧縮比に合わせる為の各厚さのガスケット類をご用意しています。パーツを個別に捉えるのではなく、全体の組み合わせとバランスそしてマージン等を考慮したエンジン作りが出来ればと思っています。
今後のラインナップとしてはSTDスペックを含めストリート走行を主体に設計された三種のリリースを考えておりますが、後に少々過激なスペックに振った刺激的なカムシャフトもリリース予定です。
いつかのAipril’s fool 記事ではありませんが、決して海苔を巻いたオニギリの様なカムにはなりません。ここまで来てお蔵入りになりません様に。笑