カワサキ製純正テンショナーアームが販売終了となった事を受けて、しかしこれが無い事には今後のエンジン整備はもちろん困ってしまいますので、対応策として弊社でもゴムローラー部分の製作には即時かかっておりました事は以前の記事にてもお知らせした通りです。
このローラ―は、高速で送られるカムチェーンにテンションをかけながら回転するという、非常に厳しい条件で使用される為、ゴムの選定とローラ―の芯金へに対しての焼き付け品質は特に重要です。
先行で製作したものと純正のゴムローラーを、ボトルに満たしたガソリンに漬けたまま数カ月間置いたものです。
左は今回製作した弊社製。 右は純正のもの。
両方共に共に上のボトルに漬けておいたものです。
エンジンの内部では、ブローバイガスに含まれる未燃焼のガソリン成分はあるものの、100パーセントの液体ガソリンの様な無茶な状況ではありません。
但し、耐久性の比較確認の為、あえて通常ではありえないレベルのシビアな状態でテストしています。成型時には同じ外径寸法で製作していますが、さすがに純ガソリンに数カ月も漬けると純正のものは多少の変形が出ました。
これでも良い方で、ゴムの種類によっては1.5倍ほどに肥大してしまうものもあります。
上の写真と同じく右側が純正ローラ―ですが、膨潤して真円度が狂っているのと同時に、寸法の肥大が大きい事がわかります。
ガソリン成分に漬けられたゴムは、軟化して膨張します。
その後熱を加えられると柔軟性を失い硬化収縮となりますが、製品開発においては、素材面で確実に純正部品の耐久性を越える事を確認する必要がありました。
膨張面だけで優劣良否の判断をするわけにもいきません 。
固定されて使うグロメット等のパーツと異なり、このローラーはエンジン内でのアイドラー等と同様に機械的な使われ方もするものですので、理論的には大丈夫な筈の材質や製法で製作してあっても、慎重を期す為に 様々に考えられる方法と条件で現物をテストしています。