Z系インジェクション化の際のフューエルポンプの組み込みについて、球に相談を受けるのですが、純正の燃料タンクはフレームの形状の都合で内部に燃料タンクを組み込むインタンク化加工が難しい為、大抵の場合80年代の純正DFIシステムと同様にタンクの外部にフューエルポンプを置くインラインポンプという方式を採る場合が多いものと思います。
弊社で何台かシステムを組み込みしたZも、純正フレーム車の場合この様にインラインポンプで組ませていただいているのですが、問題はそのポンプに対する燃料流量についてです。
例えばキャブレターの場合は、エンジンが消費する分の燃料に余裕のある程度落ちるだけの容量があれば良く、全開時と言っても滝の様に大量のガソリンが必要なわけでは無いのですが、インジェクションのインラインポンプ方式の場合、インジェクターに対する安定した燃圧を維持する目的もあってフューエルポンプにはキャブに比較して大量のガソリンをフューエルタンクから落とし、燃圧確保した余剰分はそのままフューエルタンクに戻しています。
この為、燃料の落ちが悪かったりすると、フューエルラインの途中でエア噛みが起こったり、圧力を作る以外に吸い込みの為にパワーの必要な燃料ポンプの負担が増えて消費電力が大きくなったり、無理のかかった燃料ポンプの寿命が短くなったりします。
例えば以下の動画はガソリンの落ちが見え易くなる様に、あえてフィルターをDFI等のものとは逆さに装着してみたものですが、燃料落下が間に合わない為にフィルターの内部は殆どがエアになり、ポンプに向けてもエアが含まれたままのガソリンが一部流れて行ってしまっています。
アップにすると、下側のパイプから出て行くガソリンにエアが混じっているのが見えます。
原因はタンク脱着の際に使うインラインフューエルコックで、この内部が細くなっている分、途中のエアのタンク側への抜けや、ガソリンの落ちもスムーズに行われなかった様です。
そこで、内部径の大きなインラインコックに交換して、ホース取り回しも変更し、よりガソリンがスムーズに落ちる様にラインを変更してみます。
以下でもわかる様に、非常にスムーズに落ちる様になりました。
ちなみにガソリンの落ちが悪くても、DFIのフィルターの上方に向かってガスが抜ける様にしてやると、強制的にポンプはガソリンを引っ張りますのでエアの混入はそれなりに防げるのですが、結局吸う為に余計な力が必要な分ポンプには負担がかかり、ポンプ稼働時の音もうるさくなる傾向にあります。
逆にポンプに対する燃料の落ちが良い場合は、稼働音も割と静かです。
その分、電力消費も抑えられ、無理をしない分ポンプの寿命も長くなります。
ちなみに、これはタンク側の燃料取り出しアダプター。
燃料が落ちて行くのは左の口径の大きな方。
右側の小さな方はリターン側となります。