GPz1100やZ1100RのエンジンはJ系エンジンとはされていますが、基本構造は同じであるものの、各部の寸法や仕様で数多くの違いがあります。
その一部にヘッドガスケットがありますが、その組み合わせについて質問を受けたので記事にします。
写真は、GPz1100 A2型のシリンダーブロックとそれに使われていたヘッドガスケットで、当時の純正でメタル化されていますが厚さは0.7mmです。
これは圧縮が上げられたハイチューニングエンジンであった事もあるのでしょうが、それ以前のJ系エンジンのヘッドガスケット厚さは約1.2mmですから0.5mmも薄くなっています。
それで質問の内容ですが、Z1000J,Z1000RにこのGPz用純正ヘッドガスケットを使えば0.5mm分のヘッド側面研効果と同じに圧縮を上げられるかといったものでした。
結論から言うとあまりお勧めは出来ません。
実は、それまでのZ1000J系とGPz1100系のシリンダーブロックでは純正のヘッドガスケットの厚さ分でセンターシールの入る溝の深さが違います。
弊社データではZ1000J系が約1.7mmのところ、GPz1100系では約2.2mmとなっています。
従ってZ1000Jにこの0.7mm厚の純正メタルガスケットを組み込みすると、センターシールは0.5mmも余計に圧縮される為、 ヘッドを搭載した際に 必要以上に圧縮される事で傷みが激しくなったり、場合によっては切れてしまう場合も想定されるからです。
その逆にですが、例えばGPz1100に社外品のZ1000J,R用に作られたヘッドガスケット(約1.2mm)でボア径の合ったものを使った場合、ヘッドガスケットが厚くなった分今度はセンターシールがシリンダーヘッドに密着しないか当たりが弱い為にオイルリークの可能性が大となってしまいます。
ちなみに、シリンダーブロック自体の高さですが、これは平均値でもGPz系ブロックの方が0.5mm程高くなっています。
解り易く言えば、GPz系シリンダーブロックは、ヘッドガスケットが薄くなった分、同じだけブロックが高くなっているわけですから、純正品のヘッドガスケットを載せた場合の高さの総和はそれまでのJ系と同じになる様に出来ているわけです。
弊社で複数ブロックを採寸した平均値では、Z1000J系ブロック高さが89.75mmに対して、GPz系ブロックは90.25mmでした。
簡単な見合わけ方として。
GPz系ブロックは、四隅のオイルラインを兼ねたスタッドボルト部分にJ系ブロックだと入るOリングが入る溝が無く、Z1系同様にフラットになっています。