以前弊社に内燃機加工をご依頼頂きましたプライベーター様のMKⅡ。ご自分で腰上を組み上げたものの、いまいち調子が良く無いとご相談を頂いておりました。事前に圧縮圧力のバラつきやO/Hしたのにも関わらず、圧縮圧力が7kg台(通常は約10kg)と言う事と、オイルの減り、プラグホールから4番シリンダーを覗くと縦傷があると言う事で、ご入庫頂きました。
早速検証して行きます。事前に申告がありました通り全体的な圧縮圧力の低下やバラつきが見受けられました。症状からカムシャフトを組み付ける際の組み間違いによるバルブタイミング不良が疑われますので、まずはそこから点検して行きます。
カムシャフトの位置や組み付けの基準になる28コマのズレは見受けられませんでした。少々腑に落ちませんが、ひとまずハンドクランクで4番シリンダーの傷を確認する事に。
これは酷いですね。傷と言うより溝になってしまっています。リング廻りに何か起きているようですね。そしてここである事に気が付きます。ポイントカバー内のアドバンサー(ウオタニSP2)のTマークを1・4上死点に合わせているのに4番ピストンが上死点より少し下がっています。
ピストンを上死点にした時のTマーク位置はご覧の通りです。
まさか・・・!!と思い確認すると・・・
アドバンサーとクランクエンドの位置決めをするピンが折れてしまっています。そしてアドバンサー裏にはズレて止まったであろう傷が見受けられます。結果的にバルブタイミングがズレてしまっている訳ですね。オーナー様に状況を報告すると心当たりがあると言う事でした。ピストンとバルブがHIT!!なんて事にならずに良かった・・不幸中の幸いってヤツですね。
ただ、4番シリンダーはそのままと言う訳にはいかないレベルですので腰上はバラす事に・・・。ピストンリング廻りの点検に移ります。
つづく